新型コロナウイルス感染症の広がりに伴う政府の緊急事態宣言が5月14日、39県で解除された。これに伴い、休業を余儀なくされていた飲食店の営業再開で、ステーキ材や焼き材など外食需要の回復が期待されるところだが、週が明けた今週も外食方面からの発注は目立って増えている状況ではない。営業再開による世間の反応や、感染拡大の第二波による警戒心があるためとみられる。全国的な宣言解除など、フル営業に至るまでにはまだ時間がかかり、食肉の外食需要の回復もスローペースで動いてくるとみられる。

39県の緊急事態宣言解除後の今週、外食向けが中心となる輸入食肉(牛肉、豚肉、鶏肉、内臓)は、一部量販店向けの動きこそあるものの、地方を含めた外食関係からの発注はあまり変化がみられず、依然として少ない状況にある。「取引先の二次卸や業務卸などに聞いても、積極的な営業再開をしているところは少ない」(関東の卸筋)、「引合いはゼロではないが、大口需要が見込まれる都市部のショッピングモールなどの営業が本格的に再開しなければ難しいのでは」(別の卸筋)という声が多く、本格的な引合いが出てくるまでは、まだ時間がかかると見られている。

事業協同組合全国焼肉協会によると、会員企業のなかにはこの間、お昼時の弁当や焼き肉セットのテイクアウトを始めるなど、外出自粛の厳しい環境のもと、何とか企業努力で営業を継続していたところもあるという。今回の緊急事態宣言の解除に伴い、営業店舗数を増やすほか、短縮していた営業時間を延ばすなどの動きがみられるようだ。

ただ、業態に関係なく、営業時間帯や座席間隔の確保などの感染対策も引続き注力するため、コロナ以前の需要環境に戻るにはまだ先のこととなりそうだ。「北米産牛肉・豚肉など先の供給動向が不透明にあるなか、いま急激に発注が増えたとしても、どこまで顧客が望む条件で供給できるか判断し難い状況にある」(輸入筋)との声も。とはいえ、酒類業界でも宣言解除後、ビールの業務用生樽や瓶ビールの発注が徐々に戻りつつあり、全面解除を前提として、来月以降、食肉の外食需要も底を打ち、緩やかに回復に向かうことを期待したいところだ。

〈畜産日報2020年5月20日付〉