アイルランド 2019年は牛肉65万tを世界に輸出、品質は世界でベストと自信/アイルランド政府食糧庁(ボードビア)

アイリッシュビーフ使用オリジナルメニュー「テンダーロインのグリル」
〈ドライエイジングで柔らかくあっさりとした品質〉
アイルランド政府食糧庁(ボードビア)は11月25日、10月に日本初上陸したホテル「キンプトン新宿東京」で、アイルランドプレミアムビーフの夕べを開催し、ミシュラン星付きレストランでも提供されるアイルランド産の最高級ドライエイジグラスフェッドビーフのオリジナルメニューを提供した。
ボードビア 日本・韓国担当マーケットマネジャー、ジョー・ムーア氏

ボードビア 日本・韓国担当マーケットマネジャー、ジョー・ムーア氏

開催にあたりボードビアのジョー・ムーア日本・韓国担当マーケットマネジャーがボードビアの役割について「アイルランドの食料・飲料の輸出をサポートする機関で、25年前に設立し、15カ国にオフィスを構えている。アイルランドの人口は500万人弱だが、牛は650万頭飼養されており、人よりも牛が多い。アイルランド経済において農業・食品業界は重要なセクターで、労働人口の9%が農業・食品関連に従事している。人口は500万人だが、2500万人分の食料を生産し、生産の85%を輸出している」と述べた。
 
アイルランド産ビーフについては「アイルランドは1日に四季があると言われ、ほぼ毎日降雨がある。そのため牧草の成長がよく、10カ月間は牧草が生い茂っている。飼養されている牛の餌は95%が牧草で、年間220日間放牧している。成長ホルモン剤は一切使用せず、抗生物質の使用も厳格に制限している」と説明した。
 
2019年の食料品輸出は1.6兆円で、牛肉は65万t・2900億円だとし、輸出量は米国や豪州には及ばないが、品質に関しては世界でもベストな品質だと自信を見せた。2019年の食料品の対日輸出は150億円とこの数年は拡大しており、牛肉に限らず海産物や酒類も拡大している。牛肉輸出は19年以降に急速な増加を見せ、2020年は9月までに12億円にまで拡大している。
 
日本国内では外資系ホテルで採用されるほか、ライフで味付け焼肉が販売され、インターネット通販ではステーキ肉も販売されている。また牛タンは、ねぎしで採用されており、昨年のラグビーワールドカップ開催に合わせてフェアを開催し、2020年12月にはクリスマスアイルランドビーフフェアを開催する。
 
続いて、ジョンストーンアイリッシュプレミアムビーフを輸入・販売する、フレンチF&Bジャパンの菅沼安尋ミートプロダクトマネージャーが、アイルランド産牛肉の品質及びジョンストーンビーフの取組を紹介した。

フレンチF&Bジャパン・ミートプロダクトマネージャー、菅沼安尋氏

フレンチF&Bジャパン・ミートプロダクトマネージャー、菅沼安尋氏

ジョンストーンビーフの大きな特徴は、ドライエイジングで、1カ月程度ドライエイジングする。余計なドリップが落ちることで、20%程度のロスが発生する。グラスフェッドではあるが、きめ細かなサシが入っている。欧州ではハイエンドの牛肉としての地位を築いている。年間を通じて生の牧草を食べることで、オメガ3の配合が多くなることも特徴。
 
品種はアンガスだけでなく多様性があり、農家が牛の多様性を認めることで、環境変化にも対応可能で、農家の飼養頭数は少ないが持続性を持って飼養することが可能になっている。またジョンストーンビーフではSDGsにも取り組んでおり、農場での生態系の多様性維持や、水の使用量削減、食品ロス削減などにも数値目標を設定している。
 
牧草牛は一般的には赤身で固くなりがちだが、サシを入れることで赤身でありながら柔らかく、ドライエイジングを行うことで、さらに柔らかくなる。柔らかいだけでなく、あっさりとした品質に仕上がる。
 
オリジナルメニューでは、アイリッシュビーフを使用した冷製コンソメ、テンダーロインのグリル、アイリッシュビーフの脂を使用しアイスクリームを添えたモンブランが提供された。
 
〈畜産日報2020年11月27日付〉