自民党は1月20日、鳥インフルエンザ等家畜疾病対策本部を開催し、農水省が今シーズンの高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の発生状況及び対策について報告した。

江藤拓本部長は「これだけの数になってしまったことに本部長として責任を感じている。農水省も年末年始を返上して対応した。それでもこの状況だ。現状を把握して問題点を明確にする。家畜伝染病予防法では埋却地の確保が求められるが義務ではない。今後は法改正を含めて検討していく。緊急的に法改正での対応は難しいが、来年、再来年も起こりうることなので、早急にプロジェクトチームを立ち上げて法改正に向けて議論していく」とあいさつした。また法改正については「(前回の)家畜伝染病予防法改正は、徹底したつもりだがこの状況だ。罰則を強化すれば解決するのか、難しい。法律を見直していく」と述べた。

農水省の新井ゆたか消費・安全局長は今シーズン続発していることを受け、2020年11月の発生以降、2カ月半で過去最高の発生状況となっているため、対策を検証し見直しを進め、さらなる対応も検証していくとした。

今シーズンのウイルスは、2020年夏にシベリアで検出されたもので、ユーラシア大陸の東西(西欧、日本、韓国)で猛威を振るっている。昨シーズンに東欧で発生したため、シベリアの営巣地でウイルスが増殖する好条件となってしまった。西欧ではフランスでの発生が顕著で、韓国での初発は日本より遅かったが、既に90件発生している。あひるでの発生が目立ち、あひるは死亡するまでの時間が鶏と比べて長い。韓国では予防的殺処分も実施している。国内での続発に関して、鶏肉・鶏卵価格(卸価格)への影響については、鶏肉はコロナの影響による巣ごもり需要や、年末年始が最需要期であることから、前年を約10%上回る水準で推移している。

新井局長は「殺処分や移動制限などで、当面出荷できない肉用鶏が全国の飼養羽数に占める割合は1.1%と限定的だが、今後も価格動向を注視する」と述べた。

鶏卵は年末の最需要期を過ぎ、年明けには需要が低下し、コロナの影響で業務・加工用需要が低迷しているため、前年を16%下回って推移している。今シーズンの殺処分は604万羽にのぼり、千葉県では2例で231万羽、岡山県も2例・64万羽、三豊市では密集・多発発生により172万羽を殺処分しており、規模が大きくなると防疫措置完了に時間を要し、その期間でのウイルス飛散を否定できない。三豊市では防疫措置完了に10日間、岡山県では6日間、千葉県では殺処分までに9日間を要し、新井局長は「防疫体制の見直しは、埋却地の確保を含めて急務である」と述べ、発生予防の面では昨年の家伝法の改正により、農場ごとに飼養衛生管理者を選任し、県が直接管理者にアクセスすることができ、法改正のメリットだったとした。

飼養衛生管理の指導については、国が指針を策定し、都道府県が計画を策定する制度が2021年4月から施行される。埋却及び焼却については、家畜伝染病予防法において一義的には家畜の所有者の責任となっているが、できない場合には県の家畜防疫員が行うことになっている。また知事は迅速に実施されるために、必要となる場合に備えた土地の確保、補完的に提供する土地の準備に努めなければならないとされている。

飼養衛生管理基準では、死体の埋却に共する土地の確保または、焼却もしくは化製のための準備措置を講じることを定めている。全国約8.3%の養鶏農場で埋却地などが未確保となっているが、焼却の併用により早期の防疫措置が可能だとした。

〈畜産日報2021年1月22日付〉