〈出荷増がターニングポイントに、月平均で税抜き520〜530円〉
2021年夏の豚肉需要は、内食化傾向によって小売りを中心にある程度堅調に推移した。しかし、盆休み期間中は旅行や外出を控える動きが強かったものの、天候不順の影響などで末端需要はあまり振るわなかったようだ。

8月の豚枝肉相場(東京市場)は、コロナ禍で需要動向が不透明だったことにより、見込みでの発注がしにくい状況となり、市場への出荷頭数が少ないなかで買いが集中し、前半は上物税抜きで600円を超える日が多くみられた。その後、盆休み前には500円台半ばまで下げたものの、休み明けには500台後半と600円を伺う相場展開となった。

休み明けの追加オーダーなどは決して多くはなかったとみられるが、最低限の補充買いと出荷減の影響で相場は再び上昇傾向となった。このため、月間平均では上物税抜き576円と前年価格に比べ11円安となったが、コロナ以前の一昨年比では57円高と、依然として高値を付けた。

9月前半も残暑で出荷頭数が伸び悩むことが予想され、相場も出荷動向の影響を受けた展開となりそうだ。ただ、後半にかけて出荷頭数が増えてくれば相場は下げに転じる可能性が高い。

この流れを勘案すると、前半は底堅く推移するものの、中旬以降は、秋口にかけて順調に出荷が増えてくれば、500円前後まで下げることも考えられる。このため、月平均では税抜き520円〜530円(税込み560〜570円)と予想する。

〈供給動向〉
農水省が8月24日に公表した肉豚生産出荷予測によると、9月の出荷頭数は前年同月比1%減の133.7万頭と予測している。1日当たりの出荷頭数は前年より1日稼働日が少ない20日稼働で6.7万頭となる見込みだ。概ね前年並みを見込む一方で、梅雨明け以降、各地では猛暑日が続いており、餌の食い込み低下など増体悪化による出荷への影響もみられ、実際の出荷は流動的になる可能性がある。ただ、9月の中旬以降は、産地で出荷増が見込まれており、秋口にかけて出荷頭数は回復に向かうものとみられる。

農畜産業振興機構の需給予測では、9月のチルド豚肉の輸入量は、同1.1%減の3万2,200tとみている。北米での現地高を受けて調達を抑えた影響から、前年をわずかに下回るボリュームにとどまる見込みだ。また、慢性的な通関遅延が継続していることから、入船スケジュールによっては市中タイトになることが予想され、不安定な供給状況が続いている。

〈需要見通し〉
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が講じられるなか、9月の需要も基本的には内食需要に支えられ堅調に推移することが予想される。9月に入り、モモやウデといったスソ物の動きは鈍い半面、カタロースやロースの動きは堅調。バラも例年、動き出すのはもう少し気温が下がってからとなるが、比較的動きは良いようだ。

9月は量販店で棚替えが進む時期となるが、ことしは輸入品のコスト高や供給不安などの影響もあって、一部では国産をメーンに売場を作る動きがみられ、今後、国産にシフトしていく流れも考えられる。

〈価格見通し〉
東京市場の枝肉相場は、9月1日が上物税抜き565円(税込み610円)、2日が上物税抜き553円(税込み597円)と高値スタートとなった。9月は実需に伴った相場というよりは、出荷頭数による影響を受けた展開が予想される。ここ最近の猛暑続きによる増体悪化などで市場の集荷頭数が回復しきれていないことから、前半は出荷減の状況が続く可能性が高く、枝相場は500円台後半と8月の流れを引き継いで、高値推移するとみられる。

しかし、中旬以降は出荷も徐々に回復してくることから、「敬老の日」を含む連休前後には下げパターンとなり500円前後まで下落する可能性も。出荷が増えだすタイミングが相場変動のターニングポイントとなりそうだ。ただ、輸入品との兼ね合いなどから大幅な下げは考えにくく、これらを勘案すると、月間の平均相場(東京市場)は上物税抜き520〜530円(税込み560〜570円)と予想する。

〈畜産日報2021年9月3日付〉