〈ネット回線不要、現場の省力化、分娩時の状態把握に貢献〉
総合セキュリティ会社の(株)トリニティー(本社:名古屋市中区、兼松拓也社長)は、パソコンやスマートフォンを使ってリアルタイムで畜舎内の家畜の様子を観察することができる遠隔見守りシステム「MOWCAM(モウカム)」を販売している。

外出先や自宅などスマホからいつでも、どこからでも24時間畜舎内の家畜の様子を確認することができるほか、インターネット回線を引く必要がなく、コンセントに挿すだけで舎内のどこでも設置ができる手軽さもポイントだ。近年、畜産現場でもIoTを活用したスマート畜産が注目されているが、この「MOWCAM」は家族経営でも手軽に導入することができ、分娩時の見回りなど省力化や、分娩兆候の見逃し回避、分娩事故の低減に貢献するツールといえる。兼松社長に「MOWCAM」の特徴や、今後の展開について聞いた。

「MOWCAM」の特徴のひとつが手軽に設置できる点だ。本体にSIMが内蔵されているため、畜舎にインターネット回線を引く必要がなく、コンセントを挿すだけで設置が可能。「山間部なども携帯電話の電波が届く場所であればどこでも設置することができ、コンセントを挿した瞬間からスマホを使った遠隔監視がインターネットなしでできる」(兼松社長)という。とくに固定タイプの防犯カメラの場合、設置には配線工事が必要なため、設置場所を変えるにはコストと時間がかかってしまう。この点、「MOWCAM」は1台約2.6kgと軽量であり、電源の確保さえできれば手軽に移動が可能となる。
トリニティー「MOWCAM(モウカム)」設置例

トリニティー「MOWCAM(モウカム)」設置例

とくに繁殖経営の場合、出産を控えた母牛の近くの柱など、観察し易い場所に設置し、赤外線カメラにはズーム機能や向きを変えられるパンチルト機能も付いているため、出産の状況や病気の牛の状況などを細かく観察することができるという。
 
映像(10日間分保存可能)はスマホやタブレットを通じて、自宅からこまめに確認することができるため、牛舎運営スタッフの労働環境の改善にも役立つことができるのも特徴という。分娩室の付近に設置して分娩兆候を確認するほか、体調の悪い子牛の近くに置いて呼吸の有無を確認、産後の子牛と親牛の様子の確認や、録画データをチェックして発情行動を確認するなどさまざまな用途に活用することができる。

トリニティー「MOWCAM(モウカム)」映像例

トリニティー「MOWCAM(モウカム)」映像例

兼松社長によると、「MOWCAM」は畜産の盛んな鹿児島県・徳之島に住む友人の会社が開発したという。以前からトリニティーはその友人の会社に部品を供給しており、「このシステムの良さにひかれ、当社も販売をしたいと申し出た。本土での販売やメンテナンス業務は徳之島からだと時間がかかる。当社がその役割を担うことで、全国の畜産農家に導入を進めていきたい」という。
 
一方で肉牛経営、とくに繁殖経営は比較的高齢の家族経営も多いため、カメラが届いたら速やかに設置・設定できるよう、分かりやすい取扱説明書を作るのに苦労したという。「スマホの操作などは年配の方は不得手な人が多く、電話で設定方法を補助させていただくケースも多い」。
 
防犯カメラの場合、能力の高いものは1台当たり80万~100万円の設置費用が掛かるが、「MOWCAM」の場合、導入費用は1台当たり16万円(税別、その他毎月のSIMの契約代金が必要)で済む。購入以外にも、月額8,000円(同)のレンタルも可能だ。
 
今後について兼松社長は、「通常タイプのほかにも、カメラを動かせない簡易的なカメラを使った安価なプランも考えている。養牛に比べ、養豚や養鶏農家では、システムの導入にあまりコストをかけられないことも多く、より手軽なサービスを必要としている人が多いと感じている」とする一方、「最近は牛の様子をYouTube などライブで配信したいというお客様もいる。飼養管理のツールだけでなく、いかに家畜を大切に育てているかを消費者にアピールすることにも役立ててもらえれば」という。
 
そのうえで、「現在、住宅のIoT としてスマートホームの商品が増えている。スマホからお風呂を沸かし、エアコンを制御するといったことが、もっと畜産の現場においてローコストで可能になれば、畜産に関わる従業員の負担は減っていくと思う。人の手が必要な場所にはしっかりと時間を使い、自動化できる部分はIoT で手間を省いていく、こうした流れに向かうための一助になれば」と今後の展望を語っている。
 
◆トリニティー「MOWCAM(モウカム)特設ページ
 
〈畜産日報2022年2月28日付〉