「機能性」が大躍進-ヨーグルトの底力、実感の年

ヨーグルト市場の拡大が止まらない。主要各社は期初(15年4月)にコストアップや乳価引き上げを要因に価格改定を実施したが、15年度のヨーグルト市場は前年比10%増の3800億円での着地見込みだ。大躍進のけん引役は機能性ヨーグルトで、16年度のさらなる市場拡大に向け追随するのは、対極のデザートヨーグルト。手軽さが支持され2ケタ伸長で推移したドリンクタイプも増える。

「当初、物量ベースでは前年割れを予想していたが、蓋を開けたら落ちなかった。消費者は、値上げをしてもヨーグルトの価値を認めてくれた。数年先にも印象に残るヨーグルトの高い価値〝凄さ″を実感した年」。最大手の明治 乳製品ユニット市乳営業本部ヨーグルトマーケティング部の中村哲也氏は、この1年を振り返り語った。長年各社が行う菌訴求が浸透、ヨーグルトの持つ健康効果、多様な食べ方がメディアで大きく取り上げられたことで、価格改定後も伸長した。ヨーグルト市場は15年度時点で、7年連続成長となった見通しだ。

けん引役は機能性ヨーグルトでドリンク、ハードともに、同じく好調だった14年度にプラスオンし、大躍進を遂げた。「LG21」「R-1」「PA-3」の明治プロビオ3品に加え、8月に雪印メグミルクが「ガセリ菌sP株ヨーグルト」を機能性表示食品としてリニューアル発売。「内臓脂肪低減効果」が表示可能になったことでリニューアル当初、ハードで前年の6倍に伸長するなど機能性ヨーグルトの売り場拡大にも貢献した。

今春の各社施策でも機能性ヨーグルトを拡充する動きはより顕著に進む見込みだが、対極の「デザート系」に注力する動きも高まるもようだ。機能性とおいしさ訴求の両輪がさらなる市場拡大の鍵となる。

そのひとつがギリシャヨーグルトで、「パルテノ」が発売5年目を迎える森永乳業は今期が前期比2倍と好調だったたため、フルーツソース別添タイプを拡充し、よりデザート感を前面に押し出した提案を始める。ギリシャヨーグルトは昨年、同社に続き、ダノン・ジャパン、イオンPBのトップバリュからも発売され、市場拡大を後押しした。濃密な風味はヨーグルトにおいしさを求める層から支持が高く、乳由来の高たんぱくは健康ニーズにも合致している。米国のヨーグルト市場全体占める割合は6割と主力となっており、森永の成功で日本での商品数もさらに増える見込みだ。

今後の市場拡大に向け、もうひとつ見過ごすことのできないのは、ドリンクタイプ。「今期いっきに伸びたのは機能性を含めたドリンクヨーグルト。ヨーグルトを食べるか、飲むかで選ぶとしたら、消費者はより手軽なドリンクに確実に流れている」(明治 中村氏)。

数千以上もの種類がある乳酸菌の研究は未知の部分も多く、体への効果も未だ解明されていないものがある。牛乳市場は6000億円だが、機能性研究を推進し、トレンドのドリンクタイプが今後も拡大していけば、同じラインに立つ可能性は十分ある。