〈18年度市場規模は前年比1%増、5000億円超を維持〉
18年度(18年4月~19年3月)のアイスクリーム市場は、前年比1%増の着地見込みで、5000億円超の規模を維持した。6年連続過去最高を更新。猛暑の後押しがあったが、需要期に向けた備蓄体制の強化と、スイーツ系アイスの中間・高価格帯の伸長など、天候頼みだけでなくメーカー努力による自力成長が大きな要因となっている。

19年度は3月からの各社値上げ、この影響による需要減、前年伸びた反動減のリスクもあり、成長軌道を確かなものとしていくことができるか真価が問われる1年となる。特に夏場は「昨年の中身をみると7~8月の購入率の伸長が縮小傾向(間口の縮小)」を指摘する声と、「背景にあるのはアイスの機能価値『クールダウン』に対する消費者の選択肢の多様化」との見方があることから、チアパック飲料など他の食品分野との競合を意識したマーケティングも重要になってきそうだ。

「冬アイスについては、17年は明治『エッセル スーパーカップSweet's』やオハヨー乳業『ブリュレ』など話題性のある商品の投入があり伸長したが、18年度下期に入り一巡したこともあり伸びは鈍化傾向にある」(メーカー)。

アイス市場は、平成の初めは女性・子どものおやつや太るイメージ、携帯電話代に小遣いの大部分を奪われるなどの要因から消費離れが起こり、低迷していた。これを大容量「明治エッセルスーパーカップ」が男子中高生、成人男性を取り込んでV字回復させる一幕があり、平成の後半は冷たいおやつから「通年型デザート」への価値の広がり、冬アイス(需要)創出、コンビ二での中間・高価格帯商品の定着、大人やシニアの取り込みなどで、着実に規模を拡大してきた。

17年度の5000億円突破は「従来報告のなかったメーカーも数社入っている」(日本アイスクリーム協会)ことも理由だが、18年度も規模を維持できたことはアイスのスイーツ化をさらに進め、通年型デザートとして年間にわたり各世代の需要を取り込み続けてきたことにある。

販売チャネル別では市場規模構成比約5割のスーパーが1%増、構成比約3割のコンビニが前年並み、構成比1割のドラッグストアが8%増とみられる。ドラッグストアは出店増に加え食品強化する流れが数字を押し上げた。

カテゴリー別では、全業態で個食の伸長が最も高く3%増、マルチパックは前年並み、プレミアムタイプは4%減の見込みで、プレミアム苦戦はスイーツ系の高価格帯商品の伸長から、プレミアムとの垣根が低くなったためとみられる。

19年度については3月のメーカー出荷価格改定(値上げ)を受け、小売業への納価反映が4月にほとんどの企業で実施されているが、売価は各小売業の判断の部分もあり、売価据え置きを表明している企業もあるといわれる中でスタート。

スーパーの実際の特売売価は在庫の関係もあり従来価格と混在している店もあるが、個食が税抜108円、マルチが208円と以前より一段階上がり、また新規出店の店舗では早々に70円アイスが品揃え強化され3個198円が展開されている。市場は各社ロングセラーブランドの堅調な販売で、よほどの天候要因がない限りは価格改定分で金額ベースではプラスの見込みだが、数量ベースではマイナスとなる見方が大勢を占めている。

スイーツ系要素を高め通年型デザートとして成功させた一方で、アイスの機能価値「クールダウン」訴求が、形態やブランドコンセプトによっては後回しになった感も否めない。今夏、各社は改めて瞬間的に涼むことができるアイスの価値を発信し、7~8月の間口拡大を大きく進められるか注目だ。

〈食品産業新聞 2019年4月25日号〉