ケンミン食品、テレビ番組の効果あり 10%増で推移

米を主原料とする米めん市場で圧倒的なシェアを誇るケンミン食品(神戸市中央区)の前期(17年2月期)売上高は、前年比2.7%減の73億円。前々期の15年度に、主力商品である「ケンミン焼ビーフン」の発売55周年を記念したキャンペーンやCM効果で売り上げが伸長した反動減と、飲料原料の売上減少分の影響が出た。今期の足下の状況は、6月にテレビ番組で特集を組まれた影響などもあり、前期比10%増で推移。売り上げは75億円を計画している。

昨今の健康志向で、低GI食品ならびにグルテンフリー食品としてビーフンが注目されており、現在、同社の自社工場は生産能力の限界まで稼働している。今年2月、静岡県藤枝市に新工場であるフジケンミンンフーズを設立し、主力工場である篠山工場(兵庫県篠山市)の製造量の一部を同工場に移したが、それでも生産が追いつかない状況が続いているという。

生産量ベースでの温度帯別構成比は、冷凍が40%に対して、ドライが60%。販売ルート別では、市販用が40%、業務用が60%となっている。安全・安心面での認知度が高く、業務用の販売先は、大手CVSの惣菜コーナーのほか生協や学校給食などに広がっている。地域別での売り上げは西高東低で、九州や中国地方で多く消費されている一方、甲信越や東北地方はまだまだ売り上げアップの余地がある。「6月に放送されたテレビ番組の影響で、今までビーフンを食べたことのない人にも購入してもらっている。通常、放送後1カ月程度で収束するが、3カ月近く経っても前年比で倍近くの売り上げがあるので、定着しつつあるのではないか」(同社)としており、今後も東日本での売り上げアップが見込まれる。

〈秋の市販用新商品「おべんとうチャプチェ」投入〉

この秋の冷食新商品として、業務用、市販用共に1品ずつ投入。業務用として「調理回鍋肉はるさめ」、市販用として「おべんとうチャプチェ」を9月1日に発売した。市販用では、これまで弁当用冷凍食品でビーフンなどの米めんや春雨製品はなかったが、米めん製品のパイオニアである同社が、新規市場開拓のため今春、「おべんとう焼ビーフン」を発売。同社初の弁当用冷凍商品ということもあり、発売当初は売り上げを読めなかったものの、計画以上に推移しているという。そこで、弁当用の商品も一般家庭に受け入れられると判断し、弁当カテゴリーとして2品目となる同品を投入した。 4カップ入りの小分けタイプで、赤ピーマンやたけのこの水煮、こまつななど具材をふんだんに使用。コチュジャンとごま油を効かせ、甘辛くごはんと相性の良い味に仕立てた。子どもから大人まで、万人に受けるうまみが効いたやさしい味わいとなっている。

また、春雨の粘度を既存の「市販用チャプチェ」のものから変更し、固まりにくくしなやかな食感を保つように開発。冷めてもおいしく食べられるように仕上げている。麺の長さも、ボイル後12~13cmと食べいやすい長さに設定。製造は北海道の協力会社であるクレードル食品に委託している。なお、来春には味付けを大きく変えた「おべんとう焼ビーフン」リニューアル品の発売を予定している。

〈月刊麺業界 2017年11月号より〉