もはや詳細な味わいを書かなくても「チキンラーメンの味」と言えばわかるだろう。代名詞としての役割すら果たしそうな同商品、その誕生は皆さんに改めて説明するまでもないと思われるがちょうど60年前。ちなみに私の父と同い年である。 袋麺だけでなくカップ麺になったそれは、大阪で豪遊をしすぎてお金のない私を助けてくれている。何せ100円も出さずに空腹を満たしてくれるのだ。彼が亡くなって20数年経つが、まだまだ彼の発明に助けられる人は数え切れない。

奇しくも本誌10月号が発刊される10月1日はNHK連続テレビ小説「まんぷく」の初回の放送日でもある。物語の主人公は彼の妻をモチーフとした「今井福子」。そんな彼と、彼の妻に想いを馳せながら「いただきます」と同時に食べたそれは、なんとも滋味溢れる味わいだ。半ドンの土曜日のお昼に、母親が何も言わずに出してくれる、そんな味わいを思い出すラーメンであった。ごちそうさまです。百福さん。

食べた人:秋田。和酒担当記者として全国を駆け回るかたわら、めん探訪を欠かさない。金がないといくら記事でアピールしてもこのコーナーの趣旨は、あくまで「自腹」である。

〈月刊 麺業界 2018年10月号より〉