【トップインタビュー】㈱神明ホールディング・藤尾益雄社長

㈱神明ホールディングの藤尾益雄社長はこのほど、本紙の単独インタビューに応じた。このなかで藤尾社長は、2017(平成29)年末までに、HDとして株式を店頭公開(上場)する意向を明らかにしている。
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–この1年ほどの販売環境は。
藤尾 何と言っても単価の暴落だ。ちょうど去年の今頃だったか、全農から契約玉の積み増しを依頼された。こちらは売るには売るが、ならば価格が暴落しないようにしてくれという気持ちだった。ところが蓋を開けてみれば、22年産以来の低水準な概算金。私どもにしてみれば、梯子を外された思いだ。そこへ今度は「5中3」。いや、それが正しいのかどうか、私には判断できないし、ある程度の概算金水準は必要だとも思う。問題なのは急激な変動だ。仮に5中3となれば、恐らく26年産の水準を2,000円は上回ることになる。現実に価格を下げたからといって消費は増えていない。増えていないどころか下げ止まっていない。そこへ再び価格を上げたら…。日本の食品原料は、ほとんどが輸入に頼っていて、為替と原料高から軒並み価格が上がっている。となると実需は、唯一といっていいほど自給できている米で「調整」せざるをえない。実需は当然、私どもへ厳しい価格要求を突きつけてくる。もちろん応じるが、それにも限界がある。するとあちらは量を落とさざるを得なくなる。例えば一番わかりやすいのがチェーンの寿司シャリだ。1貫あたり22gのところ16gまで落としているケースすらある。実はこれ、価格だけの問題ではなく、ネタを小さくせざるをえないから、併せてシャリも小さくして、1貫が小さく見えないようにする苦肉の策。こんなことを繰り返していて消費が増えるわけがない。
–御社として2015年3月期は? 増資もされたやに聞いていますが。
藤尾 前期は、特にバランスシートの強化が大きな課題だった。六甲山くらいなら軽装でもいいだろうが、これから富士山に登ろうというときに、それなりの準備、足腰の強化は絶対に必要。第三者割当増資もその基本計画のなかに含まれていた。まず期首目標に、純資産200億円突破を掲げていたのだが、これは達成できた。また自己資本比率は、神明ホールディング単体で60%以上の目標を掲げ、結果は70%を超えることができた。連結ベースだと40%以上の目標に対して実績は45%。さらにD/Eレシオ(有利子負債残高÷自己資本)1倍以内、つまり負債を資産が上回ることが目標だったが、実績は「0.55倍」。つまり、この1年で当社グループは、200億円以上の資産に対し借金100億円ちょっと、かなりな足腰の強化を実現できたということだ。