今期海外売上高34.5%増で海外売上高比率20%に拡大へ=日清製粉G①

㈱日清製粉グループ本社の大枝宏之社長(写真)等幹部は7日、専門紙誌と会見・懇談した。この中で大枝社長は、新経営計画「NNI-120 Ⅱ(バージョン2)」(2015年度~2020年度)の最終年度目標である連結売上高7,500億円、連結営業利益300億円、EPs(1株当たり当期純利益)80円に触れながら「日本経済の成長率からみるとハードルは低くはないが、期間を決めた計画として実現に取り組む」と強調した。
<日清製粉グループ本社・大枝宏之社長>
2015年3月期連結決算は、売上高5,261億4,400万円(前期比6.1%増)と増収を達成した。海外売上高比率は前期の11.8%から16.1%に拡大した。利益面では、全社的なコスト削減に取り組んだが、原材料コストの上昇、拡販施策費の増加に製粉福岡工場の減価償却費の増加等で営業利益は204億7,600万円(前期比8.1%減)と減益になった。当期純利益は160億3,600万円(6.2%増)の増益だった。海外売上高は847億6,500万円(44.8%増)となった。2016年3月期の連結業績予想は、売上高5,700億円(前期比8.3%増)、営業利益205億円(0.1%増)、当期純利益161億円(0.4%)の増収微増益を見込む。製粉海外子会社の自立的成長、国内における新製品の投入や販売施策の推進で増収を見込み、海外売上高は1,140億円(前期比34.5%増)、海外売上高比率は20.0%と拡大する見通しだ。製粉事業の海外売上高比率は40%に近い30%台後半となる見込み。2012年度~2014年度の中期経営計画「NNI-120 スピードと成長、拡大」では、戦略的投資として700億円強を投入した。製粉事業では、2012年に米国ミラー・ミリング社買収(2工場)、30%生産能力増強(2013年)、4工場買収(2014年)で約350億円を投資し、同社は全米第4位の製粉会社に躍進している。ニュージーランド最大の製粉会社・チャンピオン製粉の買収(2013年、2工場)では、約35億円を投資した。食品事業では、パスタソース等の製造・販売会社ベトナム日清製粉を設立、2014年10月に工場が稼働した。投資額は約15億円。これによりパスタソースの生産拠点は日本、タイ(タイ日清製粉)、ベトナムと世界3拠点体制になった。また、トルコ日清製粉では2015年5月パスタ工場が稼働した。投資額は約24億円。パスタの生産拠点は日本、米国(メダリオン・フーズ)、トルコと世界3拠点体制になっている。トルコ日清製粉製造のパスタは、今年9月下旬から10月頃に輸入開始となる予定。国内の製粉事業では、臨海大型工場への生産集約を進めており、2014年2月に福岡新工場が稼働(投資額約100億円)、知多工場新ラインも2015年5月に稼働(約60億円)し、臨海大型工場の生産比率は82%(2011年71%)に高まった。成長領域への投資でも、中食・惣菜事業では、既存のイニシオフーズに加え、トオカツフーズに49%出資し(2012年12月、約75億円強投資)、事業拡大を図った。また、冷凍パスタの供給体制強化のため、マ・マーマカロニ神戸工場に新たに冷凍パスタ工場を建設(2015年5月稼働、生産能力年産5,200万食、約28億円投資)。冷凍パスタ、中食・惣菜事業は2桁成長を続けている。
新経営計画「NNI-120 Ⅱ」は、2020年度目標に対し、6年間の年平均成長率は連結売上高で6%、連結営業利益で7%、EPsで8%の成長を目標としている。これまでのトップラインの拡大からボトムラインを重視した「収益構造の再構築」へ大きく舵を切った。グループの成長に向け、事業の選択と集中を進め、事業ポートフォリオの最適化を実行、重点分野に経営資源を集中的に投入していく。また、資本制作では、従来以上に積極的に株主還元に取り組み、配当性向の基準を従来の30%以上から40%以上に引き上げている。