新会長に下嶋正雄日東富士製粉社長が就任=製粉協会総会

製粉協会は20日、第69回定時会員)が退任し、新会長に下嶋正雄日東富士製粉㈱社長が就任した。大枝氏は理事も退任し、新理事に見目信樹日清製粉㈱社長が就任した。また坂井憲一氏が理事製粉研究所所長に就任した。また、その他の常任理事、理事は重任した。
総会の冒頭挨拶した大枝会長は、「1年前に製粉協会会長に就任した際、小麦生産・製粉・二次加工・流通・消費をバリューチェーンで繋げ、各段階で事業基盤が確立できるようにすることが重要と申し上げた。そして4つの課題(TPP対応、即時販売方式の見直し、内麦振興、消費税率引上げへの対応)について、会員各位の協力を頂き取り組んだ。一定の成果を上げることができたと考えているが、引き続き課題として残っており、下嶋新会長に引き継いでいただく。下嶋新会長は、商社時代を含め、卓越したリーダーシップの方であり、製粉協会・業界が置かれている変化激しく、厳しい時代に適任。今回は会長とともに理事も退任するが、日清製粉グループ本社社長として、また違ったお付き合いをさせて頂きたい」と語った。
下嶋新会長は、総会・懇親会で挨拶し「大枝前会長は、4つの課題について、厳しくまた難しい環境の中で指導力を発揮され、的確な舵取りで業界をまとめて頂いた。その方針を踏襲し、協会・業界の課題に取り組み、業界の発展に尽力していく。製粉業界を取り巻く環境は年々厳しくなり、経営も段々難しくなっている。小麦は国際需給で相場が下がっていても、大幅な円安により購入価格は上がっている。この流れは2012年10月以降続いており、我々の経営を圧迫する一つの要因になっている。TPP交渉は7月末の閣僚会合で大筋合意に至らず、延長となっているが、製粉協会としては、輸入麦の政府売渡制度がどうなっていくのか、また、二次加工メーカー等の製品輸入がどう方向付けされていくのか関心を強くして、対応していかなければならない。さらに、内麦は基本計画で10年後に95万t生産の目標を設定しており、品質改善も進み、需要の増加に繋がるなど、需給アンバランスも徐々に改善されつつある。内麦需要拡大には、安定した生産・品質・物流に取り組まなければならない。このほか、政府売渡麦価の小幅改定時対応、小麦の原料原産地表示のあり方、消費税率再引き上げ時の軽減率への対応と課題は多く、これらへの対応力をつけていかなければならない。少子高齢化時代の中で、小麦粉の需要拡大も真剣に考えなければならない。主要食糧の安定供給という食料基幹産業としての使命を果たしつつ、国際競争力の強化に取り組めるよう行政等の協力をお願いしたい」と語った。
総会後の懇親会で来賓挨拶した農林水産省の今城健晴生産局長は「8月7日付で生産局長に就任したが、1年いない間に内麦の需要が高まり、動き出しており、内麦使用を売りにしている製品も増えるなど非常に嬉しく思っている。消費者が求める麦製品を安定供給していけるよう一緒に頑張っていきたい。7月末のハワイでのTPP閣僚会合では、大筋合意の見通しの下でやったが、各国の抱える問題は難しいものばかりで、合意に至らなかった。次の閣僚会合はいつか、も難しい問題になっている。ただ、大筋合意になろうとも、そうでないとしても、どうなろうとも主要食糧を安定的に供給していく仕組みはないがしろにできないものであり、農水省としても、業界の協力を得ながら国民の主食をしっかりと支えていく」と強調した。
また、総会で来賓挨拶した農林水産省生産局の柄澤彰農産部長は、10月期麦価改定に触れ「4月期改定の際にもリリースしたが、麦価・粉価の時期ズレを改善するため、今回から10月改定のギリギリ前までの買付コストを反映した方式にしている。事務的には、大変厳しいが、最大限努力していく」とした。