「ヤマタネ萌えみのり」第6回栽培コンテスト、2巡目ラスト秋田で開催

米麦日報 2018年2月20日付
〈予定上回る29年産1万t、最高反収831kg、第2採種産地を開拓へ〉
(株)ヤマタネ(山﨑元裕社長)は16日、秋田県横手市内のホテルで、第6回「萌えみのり栽培コンテスト」を開催した。同社が多収品種「萌えみのり」を契約栽培している単協・生産者らを一堂に集め、「チーム萌えみのり」としての結束をはかるもの。平成29年産では、当初予定(6,000t)を大きく上回る1万tの生産・販売量を達成(本来は30年産で1万t達成のはずだった)、最高反収(10aあたり収量)は全国平均(農家等使用フルイ目ベース517kg)を60.7%上回る831kgを記録した。山﨑社長は冒頭挨拶で「今の食をめぐる環境からして、当社のこの取組みは正しい方向へ向かっていると確信している」とした。

第6回コンテスト表彰者は以下の通り(総体の平均=整粒値75.1%、食味値75.9、反収559.4kg)。

〈総合(各部門ごとホ゜イント合計の最高値)〉▽最優秀賞=柿崎孝一氏(秋田ふるさと農協、241.0ポイント、整粒値86.2%、食味値79.0、反収757.6kg)。

〈食味部門(部門平均食味値75.9)〉▽第1位=佐藤貴洋氏(秋田ふるさと農協、食味値85、蛋白値6.3)▽第2位=伊藤庸夫氏(栗っこ農協、食味値84、蛋白値6.6)▽第3位=農事組合法人 おきた営農組合(いわて平泉農協、食味値83、蛋白値6.7)

〈収量部門(部門平均反収559.4kg)〉▽第1位=菅生均氏(秋田みなみ農協、反収831.0kg)▽第2位=小松田英人氏(秋田ふるさと農協、反収829.7kg)▽第3位=高野昭人氏(秋田ふるさと農協、反収799.3kg)

〈直播栽培部門(部門平均=整粒値73.1%、食味値76.3、反収523.2kg)〉▽第1位=農事組合法人 ときなみファーム(みやぎ登米農協、230.0ポイント、整粒値81.9%、食味値79、反収691.0kg)▽第2位=中村準一氏(庄内たがわ農協、226.3ポイント、整粒値78.0%、食味値81、反収673.3kg)▽第3位=氏家哲氏(栗っこ農協、226.0ポイント、整粒値81.2%、食味値80、反収648.0kg)

「ヤマタネ萌えみのり栽培コンテスト」は毎年、ヤマタネ本社のある東京、契約栽培先の一つである宮城、山形の順で持ち回り開催しており、今回は2巡目の最終回にあたる。公開したのは3回目。「第1回は当社の会議室で、少人数でひっそり、時間も1時間足らずだった。ここまで盛大になろうとは。感慨深いものがある」(鈴木康道常務取締役食品本部長)。今回も開催地元を代表して秋田ふるさと農協の小田嶋契組合長が挨拶したほか、開催地である横手市の高橋大市長が異例の挨拶。

席上、ヤマタネは、「まだまだ需要量を生産量が下回っている」ものの、種籾の確保が追いつかなかったため、29年産では「予定を上回る作付には疎植をお願いせざるを得なかった」(石川博食品本部米穀部開発担当部長)反省に立ち、「新たな採種産地の構築」に着手したことを明らかにした。現在ヤマタネ「萌えみのり」種籾の採種にあたっては富山の単一拠点体制。28年産から宮城の栗っこ農協で、種籾生産を開始している。28年産で10t、29年産で14tの種籾生産実績があり、30年産では20tまで拡大する計画だ。

また「簡単に言うと安い、うまい、使い勝手が良い、という萌えみのりが実需に評価される最大の特徴を活かすためには、『品質の安定に向けた栽培平準化』が絶対に必要」(石川部長)と課題を指摘。ここまで2年連続で続けてきた最高反収の更新が29年産で途切れてしまったのは全国的な作柄の傾向だからまだ仕方ないとしても、ヤマタネ萌えみのりの場合、(例として北海道ななつぼしとの比較で)整粒値は低下、胴割れ粒が多め、食味に至っては産年ごと大きく上下する傾向にある。その要因として、〈1〉圃場メンテナンスの不足、〈2〉窒素に偏った多収(施肥)設計、〈3〉水管理の不具合(特に成長期~落水)、〈4〉大規模化による作業許容の超過、〈5〉新規生産者への技術サポート不足、〈6〉全量買取に対する安心感――をあげ、「確かに全量買取させていただくが、品質が価格と密接な関係にあることは自明の理。安定品質こそ有利販売の条件であることを改めてご認識いただく必要がある」(同)とした上で、「平成30年産は、各単協の萌えみのり栽培研究会をフル活用する方針」(同)であることを明らかにしている。

〈活動報告/e-kakashi〉ソフトバンクグループのPSソリューションズ(株)が萌えみのり産地7圃場に導入している「e-kakashi」は、圃場で自動的に栽培データ、環境データを受信、解析し、栽培指針づくりに活かすシステムだ。言わば生産者の「経験と勘」を数値化(可視化)するわけで、「萌えみのりレシピ」と呼んでいる。今回は丸々2か年分のデータから、主に地温(積算温度)で、食味・反収が良かった圃場の特徴として、活着期の日較差が小さい(夜温が高め)、幼穂形成期の地温が高め、収穫直前までの地温は低め、総体に地温の日差は小さい――などを指摘。地温が高いあるいは低い場合の限界点を弾き出し、その地温が近づいてきた段階で警報を出すシステムの構築に入ったことをい明らかにしている。

〈事例紹介/農事組合法人そでうらファーム〉山形県酒田市の農事組合法人そでうらファームは、JAそでうら(酒田市袖浦農協)管内にあって2015(平成19)年、当時の品目横断的経営安定対策の対応(受け皿)を目的に集落営農組織として発足。2016(平成28)年に法人化している。単協管内の栽培品目は花き、メロン、アスパラガス、いちご、庄内柿、あさつきといった施設園芸が主力で、水稲は(販売高ベースで)25%程度に過ぎない。その25%をほぼ一手に引き受けているのがそでうらファームで、水稲に特化した農事組合法人だ。現在106名の組合員で210ha 規模。うち萌えみのりは29年産で51ha を占める。萌えみのりに取り組み始めたのは法人化前の2014(平成26)年。これにより、〈1〉収量増による単位面積あたりの収益向上、〈2〉耐倒伏性を活かした作業性の向上、〈3〉「量穫り」への原点回帰(作り手のモチベーション向上)、〈4〉農地まとまりのきっかけ、などの効果が得られている。

〈栽培技術紹介(1)ヤンマー「密苗」〉「みつびょう」ではなく「みつなえ」と読む。農林水産省が「最新農業技術2016」の一つに選んだ。読んで字の如し、苗箱(育苗箱)に播種する種籾(催芽籾)の量を慣行(125~150g)の約3倍、310~375gに増やしただけだ。使う苗箱の数が減る分、育苗箱代を節減できる(ざっくりした計算ながら10ha で年120万円の節減)だけでなく、田植機の苗継ぎ(苗箱の追加搭載)回数が減るため大幅な省力化につながる。培土も肥料・農薬も従来通りのものが使えて、栽培技術の変更も不要。徒長しやすい(育苗中にこまめな換気が必要)、浮き苗しやすい(荒っぽいが、育苗中にローラーで踏み倒して強くしてやれば回避できる)、田植機の一部部品交換が必要、などの注意点はあるものの、反収は慣行栽培とまったく変わらないことを実証している。普及栽培面積は29年産で2,719ha。

〈栽培技術紹介(2)農研機構「かん湛!」〉「萌えみのり」は多収であるが故に低コストが売りの品種。さらなる低コスト化へ直播栽培にも向くとされているが、しかしただ直播しただけでは低コスト化につながらない。そこで農研機構が紹介したのが「かん湛!」という技術。普通に種籾を土の表面に播いただけだと鳥害の危険性がある。土中の深くに播くには労力が必要だし、その後の生育を鈍らせる。これらを解決するため、種籾を鉄コーティングして表面に播くのが一般的だが、農研機構が提案した「かん湛!」は、鉄コーティングを必要としない。簡単に言えば、土壌表面でも土中深くでもなく「浅い土中」に、それも代掻きと同時に播種することで、鳥害防止と省力化を両立させる技術だ。鉄コーティングしない分、コスト低減にもつながる。また、この手法に萌えみのりが「最適」というのが農研機構の見解だ。 

〈米麦日報 2018年2月20日付より〉