宇都宮大らはこのほど、干ばつに強く、水を節約して育つ小麦の開発に成功したと発表した。今回の研究では、耐乾性に関与する植物ホルモン・アブシジン酸(ABA)の受容体に着目。そのタンパク質をコムギの植物体内で多く作らせることで、水消費量を抑えながら穀物生産を実現する節水型耐乾性コムギの開発に成功した。「降水量が少ないために耕作が困難だった乾燥地や干ばつが多発する地域における食糧生産の切り札になることが期待される」(研究チーム)。

宇都宮大バイオサイエンス教育研究センターの岡本昌憲助教、鳥取大乾燥地研究センターの妻鹿良亮研究員・辻本壽教授、農研機構次世代作物開発研究センターの安倍史高主任研究員、理化学研究所環境資源科学研究センターの菊地淳チームリーダー・金俊植基礎科学特別研究員らを中心とする国際共同研究チームによる研究成果。この研究成果は8日(英国時間)に国際学術雑誌「Nature Plants」のオンライン版で公開された。

宇都宮大の岡本助教は、「今回、開発に成功した節水型耐乾性コムギはGM品種のため、そのまま栽培実験ができない。そのため、自然の系統から選抜した品種で実証実験を進める。ABAの受容体が多い小麦は、気孔を閉鎖して水分の蒸発量を減少させることで乾燥ストレスに抵抗を示す。そのため、乾燥には強いが熱には弱いと考えられる。乾燥した寒い地域が適作地となるか」とした。また、「反対に湿潤な地域に適したコムギ品種開発への応用は可能か」という質問には、「可能性はある。逆に気孔を開くことで水をどんどん使う品種もありえる」と答えた。

〈米麦日報 2019年2月15日付〉