〈令和2年2月のスーパーマーケット・外食〉新型コロナにより内食は増加、外食は大打撃

〈スーパー〉(日本スーパーマーケット協会・JSA)
「マンスリーレポート」(55社・4,866店2舗(先月55社・4,874店舗)の統計。2月は閏年のため営業日数が増えた企業が多く、前年同月と比較して土曜日、祝日が1回多い曜日廻りだった。COVID-19(新型コロナウィルス肺炎)の影響で、保存が利く食料品や、マスク・除菌剤など衛生製品の需要が急激に高まり、一部商品の供給に支障が生じた。

食料品の既存店売上高は2019年同月を5.3%上回った。農産は1.0%増、水産が3.8%増、畜産が6.7%増。畜産では簡便ニーズの高まりによる味付け肉や、保存用として大型パック・冷凍品が好調だった。日配食品の売上高は6.5%増、加工食品は6.2%増となった。買いだめ需要が発生し、冷凍食品やレトルト食品、チルド麺やインスタント麺、乾麺、パスタ、さらに米、シリアルなどの商品群に特需が見られた。テレビ番組の放映効果と免疫力を高める効果への注目により、納豆やヨーグルト、豆乳や野菜飲料の売り上げが伸長している。

惣菜の売上高は5.7%増。米飯類や揚げ物、冷惣菜など全体的に好調だった。恵方巻きは、予約販売では限定商品の取り扱いや自社ポイント付与などの特典を強化した取り組みが多く、前年を上回る実績。当日販売は節分当日が平日だったため、数量の見直しをした企業が多くほぼ計画通りの実績。廃棄ロスは削減された。一方、チャンスロス発生についての声もあった。

〈外食〉(日本フードサービス協会・JF)
205社・3万9,662店舗(前月188社・3万5,001店舗)の統計。全体の売上高は4.8%増となった。客数1.8%増、客単価2.9%高。営業日数が多く、土曜日、祝日が多いこともプラス要因となった。

別途、COVID-19の影響について報告している。「2月後半以降、外食産業の売り上げは大きく落ち込み、特に、2月末より深刻な状況となっている」とし、

△3月に入り、直近の時点では、居酒屋、ディナーレストラン、ファミリーレストランなど売り上げが5割以上落ち込むチェーンもあり、休業・営業時間短縮を余儀なくされている店舗も多い
△地域的には、特に北海道が厳しく、来客数・売り上げの大幅減少(事業縮小・休業店舗多数続出)全店舗の3分の2が休業に追い込まれるなど、札幌市内の売り上げが7割減少というチェーンも出ている
△2月に入り、中国人観光客(全外国人観光客の3割を占める)のインバウンド需要がなくなり、外食店舗は売り上げが大きく落ち込んでいる
△ショッピングセンター等の商業施設での来店者数の減少により、フードコートを含むテナント店の売り上げが大きく減少している
△3~4月の宴会需要の大幅な落ち込み
――と報告した。

◆ファーストフード=2月の売上高は9.8%増、客数4.9%増、客単価4.7%高となった。洋風が好調で売上高14.0%増。和風は8.6%増、麺類4.7%増、持ち帰り米飯・回転寿司5.8%増となった。

◆ファミリーレストラン=売上高2.0%増、客数0.6%減、客単価2.7%高となった。洋風の売上高が3.0%減、和風が3.9%減となった。どちらも月後半にCOVID-19の影響で客数が減少した。中華の売上高は7.7%増、焼き肉は店によりまちまちではあるが、全体の売上高は24.4%増となった。

◆パブ・居酒屋=パブ・ビアホールは売上高9.6%減、客数7.7%減、客単価2.1%安。居酒屋は売上高4.8%減、客数4.9%減、客単価0.1%高となった。若年層やプライベート需要の多い店では影響が比較的少なかったが、観光立地や法人の宴会需要が多い店は大きな打撃を受けた。

◆ディナーレストラン=売上高2.6%減、客数3.2%減、客単価0.7%高。2月最終週の落ち込みが大きい企業が多く、3月は更なる打撃が予想される。

〈コンビニ〉(日本フランチャイズチェーン協会・JFA)
正会員7社の統計。既存店ベースの売上高は2.6%増、客数2.3%増、客単価0.3%高。日配食品の売上高は3.6%増、加工食品3.8%増となった。衛生用品、中食、冷凍食品の需要が増加した。

〈チェーンストア〉(日本チェーンストア協会・CS)
55社・1万548店(前月55社・1万543店)の統計。店舗調整後の食料品の販売額は5.8%増。加工食品などを含む「その他食品」は6.9%増となった。米、飲料、機能性ヨーグルト、乳酸菌飲料、冷凍食品、納豆、即席米飯、インスタントラーメン、カレー類、パスタ、佃煮などは好調だったが、パン類、麺類、梅干、スープ類、チョコレートなどの動きは鈍かった。 

〈米麦日報2020年3月26日付〉