大阪堂島商品取引所(岡本安明理事長)内に設けられた第三者有識者組織「経営改革協議会」(土居丈朗議長=慶大教授)は10月12日、最終提言報告書を答申した。

それによると、時期は明言しなかったものの、早期に(少なくとも来年8月7日のコメ先物試験上場期限よりも前に)株式会社化することを提言した。その上で将来的には、JPX(日本取引所グループ)と競合するような「先物と現物、様々な商品を取り込んだ、いわゆる“総合取引所”としての“堂島取ホールディングス”」をめざす、としている。これを受けて堂島取側では、さっそく株式会社化に向けた手続き・検討に入った模様だ。

“経協”ではもともと、2020年3月末までに、コメ先物試験上場期限の1年前にあたる2020年7月までに株式会社化せよ、との最終提言をとりまとめる方向で、事実、2020年3月の「中間報告」にはそのように記載されていた。ところが、ちょうどCOVID-19(新型コロナウィルス肺炎)禍が持ち上がったことで、大幅なスケジュール変更を余儀なくされてしまった。

ただ、もともと“経協”には「株式会社化」と「コメ先物本上場」の2点を主要議題に求められていたのだが、議論を進めるうち、早々に「コメ先物については、出来高状況から短期的には取引所の経営を支えるほどの収益源にはなり得ず、まずは株式会社化を通じた堂島取の将来あるべき姿」に比重を移している。

将来的な、いわゆる“総合取引所”構想では、まずコメをはじめとした農水省所管商品先物の現物取引所を設け(この段階で十分な取引量があれば“米価指数取引”という新商品も可能になる)、CCH(クリアリングカンパニー=清算団体)との三つ巴でホールディングス化。その上で、先物取引所の扱い商品を、経産省所管商品(貴金属、原油など)や金融庁所管商品(株式、証券、為替など)へと幅を広げていくことを提言している。

コメ先物については、提言書のなかでこそ「たとえ今回本上場とならなくても、堂島取が扱う商品としては歴史的にも大切な価値を有することから、体制整備を果たした上で再度上場を目指しても良いと思われる」と、やや後ろ向きな表現だったものの、同日、答申後の記者懇談会に臨んだ土居議長は、真っ向から否定した。「関係者の方々の『今度こそ本上場』という意気込みは貴重だし、それくらいの気持で良いが、私どもとしては楽観視してしていないことを示唆したつもり。気持としては同じなのだが、万が一、本上場がならなかった場合でも、決して諦めるな、という思いを込めたつもり」。その上で提言書は、「堂島の灯を消してはならない」と結んでいる。

〈コラム・交叉点 「いま言えるのはここまで」〉
〇・・・上記の最終報告書には、「株式会社化によって資本を充実させるとともに経営陣を刷新し…」と出て来る。この点、懇談会で土居議長は「私どもは、あくまで提言する立場。株式会社化した後の経営陣のあり方について、何ら掣肘を与えるものではない。ただ、今この状況に至った事実は、真摯に受け止めて欲しいとは思う。明らかに、特にガバナンスの点で組織に色々あったから今の状況に至ったのであろうし、だから現在の経営陣はともかく、次の経営陣には、同じ轍を踏まないようにして欲しいということ」とした。

〇・・・事実として、この数日前、株式会社化後の初代社長として一部報道で名前があがったのが、委員の一人である中塚一宏氏(SBIホールディングス(株)経営諮問委員、SBIエナジー(株)社長、元金融担当相)。懇談会にも同席していたことから、真偽のほどを問う直裁的な質問が飛んだ。中塚“初代社長候補”の答えて曰く、「株式会社化すれば、新たな出資者を募ることになるし、新経営陣の陣容は、そうした出資者の方々の間で決めるべきこと。すでに出資を決められた方の間で、私の名前があがっていることは承知している。いま言えるのはここまでだ」。

〈米麦日報2020年10月13日付〉