調味料もプレミアム化、百貨店や高質店で順調

調味料もプレミアム時代へ-実質賃金が上がらない中、ひとときのプチ贅沢を実現させてくれるビールや1人前レトルトパスタソースなどが着実に市場を伸ばしている。その一方で、この春の新商品ではマヨネーズやケチャップなどの調味料にもプレミアム化が見られる。一般的な量販店では目立たないが、メーカー側の話では百貨店や高質店では順調に動いているという。

春の新商品で話題を集めた一つは3月2日にキユーピーが発売した「卵を味わうマヨネーズ」。こだわりの卵を使い、製造法も最善を尽くすなど文字通りプレミアムを実現した。販売ルートは限られているものの、発売以降、完売が続いているという。他にもカゴメの「トマトケチャッププレミアム」やMizkanのぽん酢「かおりの蔵PREMIUM」など調味料市場にも続々とプレミアムタイプが登場、いずれも出足は好調のようだ。

プレミアムタイプの成功例は、第3のビールが台頭するビール市場が典型的。価格の安い第3のビールや発泡酒に伍して通常のビールより高い「ザ・プレミアム・モルツ」や「ヱビス」が好調に推移しており、大手ビール会社のプレミアム戦略が進んでいる。調味料系でも各社の1人前レトルトパスタソースは節約志向にあって着実に実績を積み上げている。

こうした傾向は、実質賃金が上がらない中で、『節約疲れ』によるプチ贅沢ニーズを掴んだものだろう。お菓子やスイーツがプチ贅沢の典型といわれるが、実際はビールやパスタソースなどにも広がっている。

そうした流れを受けて、調味料でもプレミアムタイプが大手各社から投入された。なお一般品と比べて単価が高い商品には、地方メーカーが地元の特産品や有機作物などを使って作る地ビール、レトルトカレー、食塩、ジャム、ヨーグルトなどもあるが、製造量や販売ルートが限られるため、今回取り上げるプレミアム調味料とはやや趣が異なる。

冒頭紹介した「卵を味わうマヨネーズ」は「エグロワイヤル」というコクの強い卵など原料にこだわり、熟成期間もとった。250g、1250円と通常品の6倍以上のg単価ながら、扱い店ではすぐに売り切れるという。

「トマトケチャッププレミアム」は甘みの強いポルトガル産のトマトを厳選、しかも通常品の30%増のトマトを使用しトマトの味をしっかり味わえる。260g、500円前後。単価は4倍程度だが、配荷は一般量販店にまで及んでいる。

「かおりの蔵PREMIUM」は土佐あき農協産の「早摘みゆず」100%使用のぽん酢で、通販限定の「濃香ぽん酢」に近い規格の高級品でゆずの芳醇な味わいが特徴。360ml、620円。

カレールーでもハウス食品の「ザ・ホテル・カレー(ルウタイプ)」〈濃厚仕立て〉〈ワインソース仕立て〉の2品、エスビー食品の「プレミアムゴールデンカレー」が今春、発売された。

また昨秋には、味の素が「カップスーププレミアム クラムチャウダー」を発売し好調な実績を残した。丸美屋食品の「贅を味わう麻婆豆腐の素」(辛口・中辛)も昨秋発売で定番化を果たしている。

和食に欠かせない醤油は大手2社の鮮度保持ボトルが醤油の価値向上と単価アップに貢献しているが、今春には「味わい贅沢生しょうゆ超特選プレミアム」(キッコーマン食品)、「超特選丸大豆しょうゆ」(ヤマサ醤油)、「本膳生」(ヒゲタ醤油)など中身も厳選した醤油を採用し、プレミアム化を進めている。