【練り香辛料・スパイス特集】高価格帯の動き活発化

▽料理への用途広がり生姜、ニンニク伸長

▽内食・家のみ志向で注目浴びるシーズニング

練り香辛料・スパイス市場は、根強い低価格志向の一方で高価格帯商品の動きが活発化している。チューブ入り香辛料の最近の特徴としては、大容量品が好調で、料理用途の広がりから生姜やニンニクが伸びている。定番のわさびも、インバウンド需要の恩恵を受け引き続き堅調な推移だ。

近年は、簡便ニーズを伴う内食志向、家飲み志向の受け皿としてシーズニングが注目されている。シーズニング市場は昨年も拡大し、2012年との比較で約60%伸長。いまや40億円を超える規模にまで成長している。シーズニングは、季節の野菜など単品素材を使って簡便かつ本格志向の料理を手軽に作りたいというニーズにこたえて人気を呼んでおり、洋風スパイスや本格スパイスへの導線としても期待されている。

わさびを中心とした練り香辛料市場の直近1年間の動きは、前年を2%程度上回って推移し、市場規模は約250億円と推計される。引き続き一部高価格帯商品と安価な徳用品がよく売れており、全体を押し上げている。

分母の大きなわさびは汎用性の高さが浸透し、インバウンド需要とあいまって堅調な推移。また、生姜やニンニクは、料理への用途が広がり、大きく伸長している。手ごろな価格と日持ちするなど使い勝手の良さ、さらには本格志向の高価格帯に面の広がりが出て、チューブ入り香辛料に価値を認める人の年齢層が拡大している。

今期の練り香辛料市場は、高価格帯商品や大容量品が継続して伸長するとみられ、原料事情も安定していることから金額・数量ともに前年を上回る見通しだ。

スパイス全体でみた市場規模は、2015年度は金額ベースで前年比約2%増となり、シーズニングを含む洋風スパイスも伸ばし、シーズニングに限ると二桁増を続けている。洋風スパイス(シーズニング含む)145億円、粉体スパイス261億円、スパイス全体で約570億円と推計。先に述べた通り、シーズニングは40億円以上の市場を形成し、50億円の大台を狙えるところまできている。

あらかじめ味・風味が調整され、時短や簡便調理のニーズに対応した特定料理向けのシーズニングは、家庭にある単品素材を活用できる経済性も魅力だ。また、練り香辛料におけるハウス食品のチューブカラー化や、ラー油におけるエスビー食品のキャップ改良など、スパイスにおいては品質面もさることながら容器の使い勝手のよさや付加価値を追求し実現し続けることによって、食卓に楽しさや彩りを与え、消費の間口を広げている側面もある。

もっともスパイスを普及浸透させるには地道な啓蒙活動が求められる。例えばエスビー食品では、2013年から「スパイス&ハーブde自由研究」を行っている。これは〝おいしく食べて楽しく研究〟をテーマに、子ども達にスパイスやハーブを使った自由研究のヒントを紹介するもの。ゴールデンカレー50周年ということもあり、今年は新たに「香り」に関する研究を加えた。キャンペーンの実施やイベントへの出展、店頭販促、親子料理教室との連動など多面的な活動を展開している。

今期もスパイス各社では、トライアル購入や使用頻度向上を促すためのさまざまな施策を実施する。秋季以降は生鮮素材や酒売場での関連販売をさらに進め、店頭を起点としたインターネット連動型のメニュー提案などを積極的に行っていく。