ごま業界、悲願達成に一歩前進 残留基準値改善へ

ごま業界の長年の課題である、残留農薬一律基準の緩和に向けて一歩前進した。検出されれば違反になる基準値が、農薬の一つであるイミダクロプリド(以下、イミダ)において、一律基準の0・01ppmから0・05ppmに緩和される見通しとなった。摂取量の少ないごまに対する厳しすぎる基準により、シップバック(輸入国への積み戻し)等が起こり、業界は苦しんできた。悲願達成の端緒を開く、イミダの基準値緩和が目前に迫っている。

06年に施行された残留農薬ポジティブリスト制度によって、ごまは毎年10件を超える違反が続き、大半が一律基準(0・01ppm)違反という厳しい状況にある。違反が発生すると「積み戻し(シップバック)または廃棄」措置命令が下される。ごまは、世界の生産量が450万t程度のマイナークロップで、中国を中心に需要が拡大する中、厳しすぎる基準は日本のごま業界にとって足かせとなっている。そのため、業界を挙げて基準値の設定や見直しを行うために時間を費やしてきた。

その中で、15年に農水省から厚労省にイミダの基準値設定を依頼、厚労省で検討を進めてきた。全国胡麻加工組合の総会の席上、「3月末でパブコメ終了、6月末から7月上旬に具体的な動きが期待できる」ことが報告され、基準値の緩和がほぼ実現する見通しだ。他の農薬については、適正基準値取得までの時間短縮の可能性を模索し、他の先進国が設定している基準値を活用するインポートトレランスの活用を検討していく。

商品面のトレンドでは、加工ごまメーカーは付加価値の高いねりごまを強化する中で、分離した油分を手で揉んで解消するパウチ入りねりごまが充実している。利便性から、瓶入りからのシフトも見られる。一方で、ねりごまを買ってはみたものの使い切れない消費者もいることから、リピーターにつなげるための食べ方提案が課題だ。

ごま製品の中で堅調に伸びている金ごま製品や、製法にこだわったしっとり食感のすりごま製品の投入も目立つ。ユニークな商品では、すりごまを低温・長時間燻製した「燻製ごま」が登場した。

ごま油では、焙煎した褐色のごま油がポピュラーな中、焙煎せずに生のまま絞ったごま油が「白いごま油」として、テレビ番組(5月放映)で特徴と料理への活用法が取り上げられ、注目を集めた。竹本油脂「太白胡麻油」、九鬼産業「太白純正胡麻油」、かどや製油「純白ごま油」に追い風となった。「家庭での認知度がまだまだ低い。素材の風味を引き立てるといった良さを伝えたい」(メーカー)としている。

トピックスでは、飲食市場に特化したマーケティング支援を運営するfavy(東京都新宿区)が、九鬼産業とコラボした超特濃ごまアイス専門店「GOMAYA KUKI(ゴマヤクキ)」を東京・表参道に3月にオープンした。sNs、メディア等の露出もあり、好調に推移しているという。ごまの購買層は年配の人が多いことから、若年層への広がりが期待される。