電車の中でマイクロソフトのタブレットPC「サーフェス」の広告を見かけ、すでに退任したある企業の社長を思い出した。我々記者に会うと常に他社の成功事例を聞いてきて、答えると社長はその場でサーフェスを取りだし、その事例を検索していた。社長はその事例をすぐに取り入れていたが、業績は改善せず、退任した。
 
「検索」とは何か。ネットがない昔なら「調べる」ということだろう。机に向かっていても何も出てこない。電話で聞いたり、書店や図書館へ行ったり、新聞記事を探したり、現地に立って聞き込んだり、とにかくあらゆる手段で情報を集めた。しかし、調べただけでは答えにはならない。その情報をもとに考えて、自ら答えを導き出していた。
 
今は膨大なビッグデータの中に答えがあると勘違いしている人も多い。検索して終わりにする人も多い。考えなくなったのだ。
 
先日ある企業の決算説明会に参加した。ここ数年不振だった業績が回復の兆しを見せていた。その企業の社長はトライ&エラーを繰り返し、時には迷走していると非難もされていた。しかしとにかく考え抜き、自分なりにある答えを導き出していた。それは我々では思いつかない方向性だった。おそらく先行事例などないので、検索しても出てこない考え方だろう。
 
私は行き詰まると、いつも「へーベルハウス」のテレビCMに出てくる「考えよう、答えはある」という言葉を思い出す。
 
〈食品産業新聞 2018年11月19日付より〉