「カンロ飴」60年ぶり刷新へ 「糖」で事業基盤を強化―カンロ

「キャンデーナンバーワン企業になる」と三須和泰社長(右)
カンロは、新たなコーポレートメッセージとして「糖から未来をつくる。」を掲げ、糖を主軸に事業基盤の強化、推進を図る。14日の長期ビジョン発表会で、三須和泰社長は「キャンデーを通し、糖の素晴らしさ、キャンデーの計り知れない可能性を提案したい。糖から未来をつくり、世界中の人を笑顔にするキャンデーナンバーワン企業になる」と抱負を述べた。まずは2018年に看板商品「カンロ飴」を60年ぶりに刷新し、売れ筋の「金のミルク」の販促を強化する。成長エンジンのグミについては生産ラインを増強する。

また、5年ぶりに海外事業を再開し、中国などアジア主要国向けに商品を輸出し、アジア市場の開拓を図る。2037年までに国内キャンデー市場シェアを30%へ拡大し、現状1%未満の海外売上比率を50%へ引き上げる計画だ。

近年、国内のキャンデー市場は、構成比約6割を占めるハードキャンデーが縮小傾向にある。背景には少子高齢化など社会構造の変化に加え、糖質オフブームの影響があるとされるが、三須社長は「カンロのコアコンピタンスは糖と向き合い、培ったキャンデーの研究技術開発力だ」と強調。そのうえで、「糖には身体にとって好ましい働きがある成分が多く含まれる」とし、今後の長期的な事業成長へ向け、糖に対する正しい理解の啓蒙と現代の健康ニーズを担う商品の開発を進める考えを示した。製造面では飴の生産工場を2拠点に集約し、効率化を進める。原料の供給はしない方針。

商品開発においては、「素材を生かすというコンセプトの中で、添加物を極力減らしたい」(三須社長)という。「カンロ飴」の刷新では、原料のうちアミノ酸を取り除いて添加物を使わずに従来の味を再現することにした。

18年秋にリニューアル発売する。併せて、ブランド拡張品を投入する予定。

売れ筋の「金のミルク」は着色料、添加物を使わずに、素材を生かしたキャンデーとしての訴求を強化する。来春よりテレビCMを投下し、売上高10%増を目指す。

この他、現在売り上げの約4分の1を占めるグミは今後も成長が見込めることから、新たに松本工場へ1ライン増設(19年から稼働)する。既存の朝日工場と併せて、製造能力を現状の2倍に引き上げる。

〈食品産業新聞2017年11月23日付より〉