◎価値の再認識で 2015年 困難を克服 コストインフレで楽観を許さず

◎ミラノ万博 日本館で日本食など紹介、外国人観光客の増加を追い風に

写真は、今年の5月1日から10月末日まで万博が開かれる、イタリア・ミラノを象徴する大聖堂(ドゥオーモ)の夜景だ。夜空を背景に、街灯の明かりで石畳の上に浮かび上がる、白い大聖堂の姿は幻想的であり、都市が有する歴史と伝統の重みを否応なく感じさせる。言うまでもなくミラノは、ローマに次ぐイタリア第2の都市であり、「ミラノ・コレクション」の開催都市として、ファッション産業の隆盛さで知られるほか、同国航空・自動車産業、金融業の中心地でもある。まさに、欧州有数の大都市である。ミラノ万博は「地球に食料を、生命にエネルギーを」をテーマに掲げており、食文化や食育、農業、関連する科学技術や開発・協力といった、食にまつわる事柄にスポットをあて、各国が展示を行うこととなっている。

昨年11月に発表された、ミラノ万博・日本館の展示概要によれば、大きく5つのシーンに分けて、日本の農林水産業や、多様な発酵食品、植物性たん白質を中心とした一汁三菜に代表される日本食、食品産業の最先端技術、和食器を始めとする伝統的工芸品の特長などを紹介することとなっている。また、新しい食品加工技術の提案として、不二製油のUss豆乳、天野実業の味噌汁をはじめとするフリーズドライ技術、鈴茂器工の「すしロボット」が紹介される。

一昨年末に、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことに続き、ミラノ万博でも日本食にスポットがあたることになり、和食・日本食には欠かせない豆腐、納豆、味噌、醤油などの大豆加工食品、天ぷらなど日本の揚げ物料理にとっては、訪日外国人観光客が1300万人に達する環境下であり、国際的認知度の向上による追い風が大いに期待される。外国人観光客にとって食べやすく、利用しやすい商品と販売方法の開発に一層取り組みたい。

大豆・油脂業界を取り巻く今年の経営環境は、楽観を許さない状況が続くと予想される。原油・ガソリン価格は下落しているものの、諸経費の上昇基調の中で急激な円安が追い討ちをかけるコストインフレが押し寄せる一方で、国内の食品市場はデフレ脱却と言うには程遠いのが現実だ。26年産入札に入っても国産大豆の高騰が沈静化する兆しが見えないことも痛い。

その意味で2015年は間違いなく、大豆・油脂業界にとって正念場の年となる。かつて無いレベルのコストインフレに応じて製品価格の是正を急ピッチで進めながら、さらなる市場活性化を図るという無理難題に取り組まざるを得ないからだ。また、家族経営を主体とする大豆加工業界にとっては、後継者難という難しい問題がいよいよ深刻化しており、本腰を入れた対策が求められている。

この苦境を脱する鍵は和食、ひいては日本に関する事柄がなぜ、海外からの注目を年々集めつつあるのか、その意味合いについて真摯に考察することにあると思われる。おそらく、少なくない日本人が自国の長所や、持てる価値に気付いていないように見える。大豆・油脂業界も同様に見受けられる。そこを整理し、事業展開にきちっと落とし込むことができれば、きっと道は開けるのではないか。自分たちの仕事の価値を再確認することで、困難を克服する一年にしたい。