しょうゆメーカーに聞く-現状と方向性-藤村公苗・キッコーマン食品常務執行役員プロダクト・マネジャー室長

─-全体の市場動向は

昨年1年間の出荷量は業界全体で微減となった。しかし昨年度の家庭用は金額ベースで10%程度減少した。消費増税後の反動減があるが、家庭用の厳しさは明らか。2000年代の初めに100万klを割ったが、その後7年で90万kl、4年で80万klを割った。ここ1~2年は下げ止まり感があるが、長期トレンドはマイナス傾向が続くだろう。

また小売店のオーバーストア、業界の生産過剰があり、基本的には厳しい競争がまだ続くだろう。原材料の大豆、小麦、原油などの国際相場は高止まっている。加えて円安の影響があって、調達コストの増加に拍車をかけている。当社としては、全部門にわたるコスト削減で吸収していくが、グループ内で吸収できる範囲を超えた上昇分については、価格転嫁することを原則としている。

しかししょうゆや濃縮つゆなどの市場が縮小している中で価格改定をすれば、他の簡便調味料へのシフトが予想されるので、現実問題として値上げは非常に難しい。そこで「いつでも新鮮しぼりたて生しょうゆ」のような高付加価値型の商品を育成することが必要と考えている。(詳細は本紙にて)