「未病」シンポジウムで高齢者の低栄養対策を紹介-日清オイリオ 10食品群チェック方式で食生活を改善、MCT摂取も有効

放置すると病気になるかも知れない状態「未病」をテーマにした、一般向けシンポジウムがこのほど、パシフィコ横浜で開かれ、そこで協賛企業として、日清オイリオグループの土屋欣也・ヘルスサイエンス事業推進室長は、高齢者の低栄養対策として、10 食品群(肉、魚、卵、牛乳、大豆、野菜、イモ類、海藻、果物、食用油)のチェック方式や、MCT(中鎖脂肪酸油)摂取の有効性などを紹介した。土屋室長は始めに、食用油と健康を巡る動きとして、テレビや雑誌、ネットでは健康に関する情報発信が非常に多いが、体に良い食用油の選び方について、疑問を持つ方もおられるのではないか。当社としては食事と運動、炭水化物・脂質・たん白質の栄養素、食用油、3つのバランスが重要だと考えている。その中で食用油のバランスとしては、これ一本で全て解決ということではなく、当社ではいろいろな食用油を使い分けていただくことを推奨している。食用油は元来、種類によって良い・悪いという事は無く、大切なのは使い方・食べ方だ」と述べた。

続けて、「人生を過ごす中ではアンバランスも生じてくるが、今回は高齢期におけるアンバランス、低栄養について紹介したい。低栄養はエネルギー、たん白質が欠乏して、健康な体を維持できなくなる状態のことで、一言で言えば栄養失調状態の事だ。高齢になると噛む力が弱くなり、食べ物を消化する力も弱くなる。こうなると食事がどうしても細くなり、その結果、栄養バランスが崩れ、介護リスクが高くなることが近年の研究で分かっている」と説明した。

さらに低栄養の改善法として、「たん白質を中心に3大栄養素をバランス良く摂る必要があるが、個々人で専門的な栄養計算をすることは中々難しい。今回ご紹介したいのは、10食品群を食べたかどうかをチェックする方式だ。量は考えず1日に食べたかどうかだけをチェックし、そして翌日の食生活に反映するもので、7食品以上食べることが推奨されている。例えるならば、『健康の家計簿』と言えるだろう」と述べ、10 食品群のチェック方式が低栄養を改善すると説いた。

最後に土屋室長は、MCTによる低栄養の改善ついて紹介した。「低栄養になると、筋力も低下する。筋力が低下すると日常生活にもさまざまな影響が及び、特に歩く力が衰えると、転倒・骨折につながり、要介護状態になる可能性がある。MCTの摂取により歩行速度、握力が改善するという研究結果がある。人生100 年と言われる中で、自立した人生を過ごしていくには、テーマの『未病』という考え方がますます重要になるだろう。当社では今後も、食生活の中で食用油が果たせる役割を研究し、皆様に適切に伝えていきたい」と述べた。

なお「未病」シンポジウムでは、黒岩祐治・神奈川県知事が、箱根など神奈川県西部における未病改善の取り組みを紹介、経産省の担当者は旅行による未病改善効果を説明した。また、宮崎県と宮崎大学、宮崎市のフェニックス・シーガイア・リゾートなどによる産官学連携による未病の取り組みが紹介された。

〈大豆油糧日報2017年10月18日付より〉