〈第47回食品産業技術功労賞〉真誠「とろけるきなこ」

真誠が15年9月1日に発売した「とろけるきなこ」は、累計販売300万個以上のヒット商品だ。きな粉に別素材が入った「きなこ+α」市場で売り上げ第1位、きな粉100%を含む「きなこ」市場全体でも第2位(日経POSデータ)と、きな粉市場で存在感を示す。

人気の理由は、口の中でふわっととろける新食感と、牛乳などへの溶けやすさ、ヘルシー感だ。女性にきな粉好きが多いことから、ネーミングやデザインを含め、女性の五感に訴える商品を目指したことが奏功した。

開発にあたり、CGM(ブログ、SNS、口コミサイトなどの消費者生成メディア)の声を集めて分析。牛乳などと「混ざりにくい」、「むせる」、砂糖と混ぜるのが「面倒」というきな粉の不満点を解消し、くちどけの良さ、とろける食感を追求した。黒糖・麦芽糖・オリゴ糖入りで、そのままドリンク等に使いやすい。

今秋、肌の乾燥緩和機能をプラスした、業界初の機能性表示食品「とろけるきなこうるおい+ヒアルロン酸」を発売。シリーズ化により、さらなる拡販を図る。

真誠代表取締役社長 冨田博之氏

真誠代表取締役社長 冨田博之氏

〈消費者の悩みを解決〉

きな粉は大豆の機能性から中高年女性層を中心に消費されているが、若年女性層にもコンビニスイーツや菓子製品でのトライアル喫食の多い、女性に好まれる食材だ。創業時よりごまと共にきな粉製品を販売してきた当社は、きな粉を第二の柱とするべく消費行動調査を行ってきた。

今回受賞した「とろけるきなこ」は、消費者の悩みを解決できた商品。調査で浮かび上がった、①牛乳と「混ざりにくい」②大量に食べたいのに「むせる」③砂糖と混ぜるのが「面倒」――という3つの不満を解消する「甘く、くちどけの良い新食感きなこ」を実現した。

とろける新食感を実現するため、大豆の皮をむいて仕上げたなめらかなきな粉とし、かくし味のごまも同時に高速粉砕することで食感を損なわない微粒子に仕上げた。黒糖など結晶の粗いものは粉砕加工し微粒子にして配合した。また、糖質の種類、配合割合など試作を繰り返し最もくちどけの良い条件を導き出した。

パッケージはこれまでのきな粉にありがちな高級・上品さよりも、女性好みのポップで可愛らしいデザインにすることで、とろける新食感の世界観を表現した。発売以来、多くのお客さまにご好評いただき、販売構成比が着実に上がってきている。今後も新食感きなことして販促強化し、市場に定着させるべく育てていく。

〈食品産業新聞2017年12月4日付より〉