農林水産政策研究所は、15年の国勢調査に基づく、新たな食料品アクセスマップからみた食料品アクセス困難人口の推計結果の説明会を都内でこのほど開催した。年齢別や地域別による食料品アクセス困難人口の動向などについて詳しく説明した。食料品アクセス困難人口とは、店舗までの距離が500メートル以上であり、なおかつ65歳以上で自動車を利用出来ない人のことを指す。近年、飲食料品店の減少、大型店舗立地の郊外化、住民の高齢化による運動機能の低下などにより、過疎部のみならず都市部においても高齢者を中心に食料品の購入に不便や苦労を感じている消費者が増えており、食料品の円滑な供給に支障が生じる「食料品アクセス問題」が顕在化している。

農水省ではこれらの問題に対処するため、過去2回(05年、10年)、食料品アクセスマップ(500メートルメッシュごとに店舗へのアクセスが困難な人口を推計)を作成してきた。

同研究所の高橋克也氏は、今回公表した新たな食料品アクセスマップについて、「従来のアクセスマップでは、指標を『全人口』『65歳以上人口』『世帯数』としていたが、主に高齢者が困っていると考えられることから、今回の推計では『65歳以上』を指標とした。また店舗についても、購入先が多様化していることから、従来のマップで対象としていた生鮮食料品販売店舗と食料品スーパーなどに加え、コンビニも対象とし、さらに業態別に消費支出金額シェアで案分した。自動車利用についても、年齢階層別・世帯自動車所有率を推計していたが、家族の自動車を高齢者が必ずしも利用できるとは限らないため、利用率の実態を把握することとした」と説明した。

〈高齢者の4人に1人がアクセス困難者、自動車要因により都市圏で増加が顕著〉
新たな食料品アクセスマップによると、15年の食料品アクセス困難人口(65歳以上)は全国で約825万人存在し、65歳以上の全高齢者人口に占める割合は24.6%となるため、高齢者の4人に1人がアクセス困難人口という推計を示した。また、75歳以上のアクセス困難人口は536万人で、75歳以上の人口に占める割合は33.2%だった。さらにアクセス困難人口(65歳以上)に占める、75歳以上のアクセス困難人口は64.9%に達しており、高橋氏は「アクセス困難人口は75歳以上に集中しているのではいないか」と分析する。

また、65歳以上のアクセス困難人口(05年で678万人、15年で825万人)は増加しているが、割合(05年=26.4%、15年=24.6%)が減少している要因については、「分母となる高齢者人口が、かなり早いスピードで増えているということだろう」とした。

変化率をみると、65歳以上のアクセス困難人口は05年比で21.6%増加、75歳以上では42.1%増加した。しかし、地域によって差があり、東京圏では65歳以上のアクセス困難者は59.3%増、75歳以上は89.2%増と増加幅が大きかったが、地方圏では65歳以上は7.4%増、75歳以上は28.1%増に留まった。

65歳以上のアクセス困難者が21.6%増加した要因については、人口要因(高齢者人口が増えることで、アクセス困難者が増加)が23.5%、店舗要因(店舗が減少することでアクセス困難者が増加)は13.3%、自動車要因(自動車利用によりアクセス困難人口を引き下げる)がマイナス4.7%だった。しかし都市と地方では状況が異なり、地方圏では人口要因が12.6%だったが、自動車要因(マイナス17.1%)で相殺されている。一方で東京圏は、人口要因は38.2%に昇るが、自動車要因はわずかマイナス7.6%だった。75歳以上については、「自動車所有による打ち消し分がほとんど無いため、アクセス困難人口が増加してしまう」とした。

続いて、中村学園大学の薬師寺哲郎教授が、高齢者の自動車利用について、この10年で、自動車を所有する高齢者割合、同じ世帯に自動車所有者がいる高齢者割合(本人含む)が増加し、さらに自動車に依存している高齢者も増えていることなどを紹介した。

〈大豆油糧日報 2018年7月9日付より〉

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