宮城県登米市の取り組み紹介、転作集団組織を結成、安全安心の大豆提供三倉産業(宮城県仙台市)は8月31日・9月1日、第6回目となる30年産大豆のクロップツアーを開催した。全国各地の豆腐、納豆、みそ、甘酒、糀メーカー、JA担当者、大豆生産者が参加し、宮城県登米市の農場視察や、情報・意見交換、作柄概況・生産動向の報告を行った。

ツアー1日目の開催にあたりあいさつした、三倉産業の浅利直常務取締役は、「クロップツアーは、参加メーカーのみなさんのブランド化を目指して企画しているが、まだまだ道半ばだ。ツアーの真意は、ここに集まったみなさんの商売の繁盛。消費者が認めてくれる取り組み、品質の情報がこのツアーにある。今回は、日本屈指の生産組合・豊里町転作集団連絡協議会のみなさんと、大豆加工メーカーのみなさんの出会いが、今後の商売の役に立つことを願っている」と述べた。加えて、「今年から取り組んでいる、在来種・かおり豆にも注目してほしい」とし、当日はかおり豆の豆腐、納豆、豆乳の試食が提供され、参加者からは「無調製豆乳なのにとても飲みやすい」といった声が挙がっていた。

〈有機堆肥の散布や栽培履歴記録を義務付け、除草も手作業で/豊里町集団〉
続いて、JAみやぎ登米営業部米穀課の佐々木信貴氏が、宮城県・登米市豊里町で栽培している大豆の特徴や、生産における取り組みについて、プレゼンテーションを行った。
JAみやぎ登米営業部米穀課・佐々木信貴氏

JAみやぎ登米営業部米穀課・佐々木信貴氏

登米市の大豆の作付面積は、約1,100ha(県内3位)だという。このうち、登米市の豊里町産大豆の栽培の特徴としては、9つの転作集団組織で構成する「豊里町転作集団連絡議会」を結成し、協議会内で統一した栽培方法で、安全・安心で、安定した品質・収量の大豆を生産していることを紹介した。

また、「土づくり」にこだわり、有機センターで作った堆肥を300kg 以上(10a 当たり)散布することを義務化しているとした。「登米市では畜産や米も作っていることから、農家が持ってきてくれた堆肥を活用し、大豆栽培にも利用している」という。さらに、1年間の作業状況を細かく記録した「栽培履歴記録」の提出も義務化している。

加えて、必要以上の農薬を使わないように、手で雑草を抜き取っているという。「除草剤を使用した方が、手間も費用もかからないが、より安全・安心な大豆を届けるために、近所のお母さんに手伝ってもらいながら手作業で除草している」とした。

病害対策としては、近年ダイズシストセンシュウが問題となっていることから、大豆作付け前の農場に、マメ科のクリムゾンクローバーを作付けている。これにより、ダイズシストセンチュウが大豆と勘違いし、クリムゾンクローバーの根に寄生するが、クリムゾンクローバーには栄養分がないため、ダイズシストセンチュウを低減できるという。

生産の大部分を占めるタチナガハと、今年から生産に取り組む在来種・かおり豆の生育については、「今年は雨が少なく発芽に時間がかかったが、その後は順調に生育している」とした。7月30日に観察したところ、タチナガハは生育が早いことから、この頃から、かおり豆の生育状況と差が出てきたという。8月13日には、タチナガハは開花がほぼ終わっていたが、かおり豆はこの頃から開花が始まった。かおり豆は開花時期に、甘く、枝豆をゆでたような香りが農場に漂うという。

ツアー2日目は、「豊里町転作集団連絡協議会」に属する二ツ屋生産組合のタチナガハとかおり豆の農場の視察を行った。

かおり豆の農場

かおり豆の農場

「豊里町転作集団連絡協議会」の生産者によると、かおり豆は、地際から枝が張っているのが特徴で、機械で作業するとロスのリスクがあるという。また、「倒伏がどの程度で収まるのかが未知数。栄養過多になり過ぎたり、湿度が高くても良くない。刈り取りを行い、乾燥機にかける際の皮切れや、シワも心配している。かおり豆の生産は1年目のため、2~3年は勉強したい」と述べた。その後は、大豆選別工場を視察し、より品質の良い大豆が提供できるように、昨年から色彩選別機を導入していることなどが紹介された。

〈大豆油糧日報 2018年9月4日付より〉