――今年度上期の油脂事業を振り返るといかがですか。

第五期中期経営計画で掲げている、油脂・育成領域での高付加価値品の構成比を上げていくため、業務用商品では、今春リニューアルした「長調得徳」や、調味油シリーズの「J-OILPRO」の拡売に徹した。家庭用商品では、オリーブ油はエクストラバージンだけではなく、マイルドタイプの拡売に傾注した。

これまでの搾油コストが上がると収益が悪化することの繰り返しには、企業としての限界を感じており、不退転の決意で業務用高付加価値商品の拡売に取り組んでいる。

また、これまで数年かけて市場のさまざまな要請に応えられる、高付加価値品の機能を知っていただくと共に、人口減少の影響や物流の抱える問題を考えた場合、付加価値品の取り扱いを拡大することで一品単価を上げ、積載効率を高めることの必要性を説明してきた。

〈「長調得徳」「J-OILPRO」など高付加価値品の拡売に注力〉
そうした取り組みにより、「長調得徳」は販売量・販売金額共に2ケタ増の実績を上げ、業務用販売における主力商品となっている。リニューアルにより、加熱による劣化や着色を抑制する機能を強化することで、油の交換回数の削減や店舗オペレーションの簡素化につなげることで、人手不足にも対応できるので、営業も自信を持って販売している。他社製品との競合も増えているが、パイオニアの当社としては、下期も徹底して拡売に取り組んでいく。

「J-OILPRO」については、特に「グリルオイル」や「花椒(ホアジャオ)油」が非常に好評だ。当社の調味油は加工食品メーカーの構成比が元々高く、ノウハウも蓄積している。あとは、いかにメニューに落とし込んでいくかであり、個々の商品の理解が進むにつれて、さらに成功事例が積み重なってきている。

営業としても調味油は売れるという実感を持っていると思うので、サンプリングや、7月に東京・八丁堀にオープンした施設「おいしさデザイン工房」でのプレゼンテーションを通じて、特徴を実体験していただくことで、認知を高めていきたい。

――「おいしさデザイン工房」の稼働率が高いと聞きます。

「おいしさデザイン工房」は家庭用・業務用、製菓製パンを含めた施設の充実ぶりがお客様に評価され、プレゼンテーションや研修会などにより高い稼働率となっている。食品業界では、生鮮・総菜・グロサリーが連携したマーケティングが必要な時代となっており、売上を伸ばしていくためには、それぞれの垣根を越えた、説得力を持ったプレゼンテーションが必要となっている。

――汎用油の取り組みはどうですか。

汎用油については、シカゴ大豆相場は軟化しているが、菜種相場は底堅く推移しており、物流・資材のコストも上昇傾向にある。これら現状のコスト環境を丁寧に説明しながら、価格維持に努めてきた。その結果、上期の販売数量は、家庭用油脂は厳しかったが、業務用油脂は中食・外食市場での需要が非常に堅調なこともあって、前年をクリアすることができた。

中食・外食市場では、健康性など植物油のイメージが好転したことや、揚げ物需要が好調なことから、異常気象が続いた今夏も需要は落ちず、引き続き期待できるだろう。

〈食用油需要は引き続き堅調、来年度も見据えてぶれることなく取り組む〉
――下期の方針はいかがですか。


10月の販売も順調に推移している。から揚げをキーワードにした取り組みなど、さまざまな引き合いもきており、食用油の需要自体は引き続き堅調だ。とは言え、業績は一昨年度の水準にはまだ回復しておらず、来年度も見据えた上で、ぶれることなく、高付加価値品の拡売と共に、安定的に収益を確保できるように取り組んでいきたい。

こうした取り組みでしっかり売上・利益を確保していくことの必要性は、お客様と共有できると考えている。高付加価値品の機能と特長、コスト環境をしっかり説明していきたい。

〈大豆油糧日報 2018年11月29日付より〉