カナダ穀物生産統計の取り組みなど報告、質の向上に努める/日加菜種協議

大豆油糧日報 2018年12月10日付
第42回日加菜種本協議では、18年産カナダ菜種の需給見通しのほか、カナダ農務農産食品省(AAFC)から菜種・穀物生産統計の取り組みが報告されたほか、総括質疑が行われた。

AAFCの担当者によれば、同国にとって日本は菜種、小麦、豚肉で世界第2の市場であることや、菜種から得られる同国生産者の収入は17年に99億カナダドルに達し、同年の菜種・菜種製品の輸出額は約110億カナダドルとなるなど、同国農業において菜種は非常に重要なことが前置きされた。その上で同国では、菜種を含めた穀物・油糧種子がタイムリーに顧客に届くよう輸送経路の整備に努めると共に、統計局を中心に質の高い統計データの提供に努めていると強調した。

穀物に関する統計は現在、作付面積の調査を年2回(3、6月)、生産状況調査を年2回(7、11月)、最終調査を12月に行っている。さらに16年からは、西部での生育期間が長くなっていることへの対応や正確性の向上を図るため、従来の生産者調査に加えて、低解像度の衛星データなどに基づいた収穫予測を8月末に公表、さらに9月中下旬(今年は9月19日)にその更新版を公表している。

菜種の生産量予測については8月に1,920万tと発表し、9月には2,100万tに上方修正している。統計局ではこのことについて11月に発表したレリースで、要するに9月の方が、より早い段階での調査に比べて生育が進み収量予測が立てやすく、最終調査に近い数値になると説明している。

質疑応答では、日本側からカナダ農業の課題について問われたのに対し、連邦政府と州政府が5年ごとに優先課題などを協議しており、昨年策定した枠組みでは、生産者所得とリスク管理がトップ課題となっているほか、輸出市場の開発が常に重要課題として挙がっている回答。さらにAAFCでは農産品輸出を現状の550億カナダドルから、750億カナダドル規模に伸ばしたいと考えており、その一環としてさまざまな国とのFTA締結に取り組んでいるとした。

[総括質疑]
△問:日本側
=中国との関係で「黒脚病」問題(かつて輸入制限に至った経緯がある)が再燃する可能性は。

△答:カナダ側=中国との議論は継続している。「黒脚病」が中国国内の菜種生産に影響が及ぶことを懸念しており、感染リスクの軽減について検討がなされている。

△問:日本側=今年は2等級のものが例年に比べて多いと考えており、それらはカナダ国内の搾油に回されていると理解しているが、どのように流通し、消費されているのか。

△答:カナダ側=1等級と2等級をブレンドして搾油することになるが、各ターミナル・エレベータにどの程度の数量があるかは具体的に言えない。もちろん輸出向けは1等級でなければならず、そうなるように管理している。

〈大豆油糧日報 2018年12月10日付より〉