「キッコーマン中央研究所」千葉県野田市に竣工、海外施設も含めた研究体制の中核として本格稼働へ

「キッコーマン中央研究所」外観
キッコーマンが野田本社(千葉県野田市)至近に建設していた、「キッコーマン中央研究所」(地上2階建て、延床面積1万350平方メートル)がこのほど竣工した。総工費は約70億円で、10月からの本格稼働を予定している。

同社はこれまで、将来の製品開発の軸となる基礎研究から商品の開発研究まで、国内外の研究機関との連携を図りつつ活動してきたが、さらなるグループの研究開発力の強化を目指して、国内のしょうゆ・食品関連の研究部門を集約する形で中央研究所を新設した。中央研究所には約170人の研究員が常駐、米国・オランダ・シンガポールの海外研究施設を含めた研究体制の中核として機能する。

中央研究所は主に、機能別の実験室からなるメーン棟と、既存事業の商品開発力の強化のため差異化技術を蓄積する設備を備えたパイロットプラント棟で構成されている。従来は所属ごとに設けていた実験室を、機能別にメーン棟に集約することで、効率的に実験機器を活用すると共に、ディスカッションのスペースを設けることで、研究員同士のコミュニケーションの活発化を目指している。さらに免震構造も備え、安全面を強化した。

さらに中央研究所ではプレゼンテーションも可能な交流スペースを設けたほか、省エネと知的生産性を考慮した照明設備や、大屋根・天窓による自然採光・自然換気など、オープンな空間づくりに努めている。
 
〈しょうゆの基礎・基盤研究をさらに強化、新分野への挑戦も期待/堀切社長〉

堀切功章社長CEO(最高経営責任者)は8月29日の竣工式で、記者団に対し中央研究所の特長について、「当社として目指す、新しい価値創造への挑戦、その核となるのが中央研究所だ。研究所の設計思想としては、オープンな空間の中で、研究員が働きやすく、互いに持っている知識・ノウハウを生かした創造力とシナジー発揮を期待してイメージしている」との見解を示した。

さらには「しょうゆに関する基礎・基盤研究をさらに強化することによって、その可能性をさらに広げていきたい。また、時代のニーズに合った、新しいおいしさをベースとした食品の開発により、加工食品分野の幅を広げたい。さらには発酵醸造技術を生かした、新しい分野への挑戦にも期待したい」と述べた。

キッコーマン 堀切功章社長CEO

キッコーマン 堀切功章社長CEO

〈野田本社に「コラボキッチン」を開設、顧客向けプレゼンなど柔軟な運用を予定〉
あわせてキッコーマンは野田本社内に、同グループの新たなコミュニケーションの場として、「キッコーマンコラボキッチン」をこのほど開設した。中央研究所同様に10月からの運用開始を予定している。
 
「コラボキッチン」は顧客向け商品・試食プレゼンテーション施設として、キッチン施設やデモ実演設備、一定人数を収容できるスペースなどを備えているほか、さまざまな目的に応じた柔軟な運用を予定している。

「キッコーマンコラボキッチン」

「キッコーマンコラボキッチン」

〈大豆油糧日報 2019年9月2日付〉