やまみ 関東市場は“付加価値”に注力、焼豆腐やミニサイズのカット豆腐を展開/山名清社長インタビュー

やまみ・山名清社長
〈他社が製造しにくい商品を自動化で安定供給〉
やまみ(広島三原市)は、2012年に滋賀県に関西工場を建設、中国地方から関西圏に販路を拡大し、さらに2019年9月には新工場・富士山麓工場(静岡駿東郡)の稼働を開始、関東市場への展開に注力している。同年には、東証一部に上場を果たした。同社の山名清社長に新工場の進捗や、関東市場の施策などを聞いた。

――まず、今期(6月期)の主力商圏(中四国、関西)における状況は

主力商圏は堅調だ。他の豆腐メーカーの廃業により、自動化で安定供給できる当社に引き合いがあったことも堅調要因の1つだ。スーパーが寡占化しており、サプライヤーとしてしっかりついていかなくてはいけない。そのような中で当社は、量と質のバランスが評価されたのでは。

――御社は商品単価改善にも取り組まれています

単価構成のウエイトの変更に取り組んでいる。付加価値商品の売上構成比を上げ、低価格の割合を下げている。その結果、全体の平均単価が上がっている。ユーザーに必要とされ、同業他社が製造しにくい商品を自動化・安定供給することが当社の基本路線だ。

――関東市場について

関東において、既存業者と同様のラインアップでは、価格競争に陥る。そこは避けていく。他社にないものでやっていくしかない。具体的には、自動化による焼豆腐や、木綿厚揚げ、80gのミニサイズの豆腐などだ。焼豆腐は需要期が短いため、設備投資しにくく他社は取り組みにくい。このような「隙間」をきっかけに、関東での展開を進めていきたい。

――今春には、関東市場を主なターゲットに、新商品も発売されます
新工場で製造する80gのミニサイズのカット豆腐「湧々とうふ 木綿」「同 絹」だ。80gのミニサイズは、同業他社の一部で既に展開しているが、同商品の特徴は、富士山の湧き水を使用しているイメージの良さだ。

さらに、シュリンク包装とし、食品表示が増えている中でも、表面にデザインを多くあしらうことができ、裏面に食品表示ができる利点がある。食シーンや、食事の種類、食べる時間帯が異なれば、豆腐に限らず少量が求められていく。

富士山の湧き水を使っていることが評価され、スーパーの主力企業に導入が決まっている。関西、中四国にも展開し、当社のイメージの柱となる商品にしたい。

――業務用については

総菜加工工場内は人手不足で、作業工程を減らしたいというニーズがある。加えて、ヴィーガンに注目が集まっており、大豆を使った商材が増えていくのではないか。そのような中、水切り済みの豆腐や、カット済み豆腐の需要が増す。当社は、このような、他社が製造しにくい商品を大量に生産できるため、しっかり引き受けていく。

――新工場の進捗は

まだ稼働に余裕がある状況だ。豆腐メーカーに限らず、人手不足は深刻だが、当社はあまり心配ない。自動化ラインで、人手がいらないということもあるが、上場したことで、以前よりも格段に人手が集まりやすくなっている。新工場には、まだ1万坪の敷地がある。施策が軌道に乗り次第、そこに増設する計画だ。

――今後の意気込みを

引き続き、付加価値製品の製造ラインの充実、設備投資を行っていく。また、人材の育成にも継続して取り組む。食品工場の運営経験者や品質管理経験者などヘッドハンティングしているが、新卒採用も底上げしていく。

〈大豆油糧日報2020年3月9日付〉