日清オイリオグループ、中期経営計画で家庭用付加価値カテゴリー1.4倍、業務用機能性油2倍に拡大

日清オイリオグループは5月21日、ウェブ上で久野貴久社長が中期経営計画(2017~2020年度)の取り組みと2020年度の見通しについて説明した。

中計の進捗について「油脂・油糧および加工食品」では、家庭用はアマニ油、オリーブ油、ごま油などの販売拡大と安定収益に注力し、付加価値カテゴリーの売上高は2016年度比で1.4倍に拡大した。業務用では、人手不足の課題解決につながる「炊飯油」や「炒め油」、「麺さばき油」など機能性油が2016年度比で2倍に拡大した。

また、家庭用「ヘルシーオフ」や「ナチュメイド」、業務用の長持ち油などの戦略商品を積極的に展開し、収益が安定化したことで、同セグメントでは「原料や為替相場に左右されにくい体制を築けた」と手ごたえを語った。

「加工油脂」事業は、マレーシアのISF社が利益をけん引しているとし、同社は中国に販売拠点、イタリアに生産・販売拠点を新たに設置した。大東カカオはインドネシアに生産拠点を設置するなど、「これらの連携によりさらなる収益力の拡大に取り組む」と述べた。

「ヘルスサイエンス」事業はMCT(中鎖脂肪酸)を中心にした事業拡大に取り組み、量販店やドラッグストア強化によって、3年間で販売は2.9倍に拡大した。さらに、独自素材の「結晶性油脂」は病院や介護施設などでサンプルワークを実施し、地域限定で販売を開始したという。

新型コロナウイルスの影響については、「外食需要とインバウンド需要の減少は4月以降さらに出ている。内食需要は拡大しているが、全体としての消費マインドの低下と節約志向は、一定期間続くと想定する」と見通しを語った。

事業運営について、国内は予定通り操業しているが、外食から内食への需要シフトにより、家庭用、業務用の各製品の生産バランスの大幅な変動が生じ、一部影響が出ているという。海外グループ会社は生産活動縮小や停止はあったものの、現在は再開しているとした。

事業への影響として、業務用は外食向けの販売が大幅に減少したが、家庭用は内食需要の増加で販売が拡大した。海外については、活動規制などで需要は減少したとしている。

〈大豆油糧日報2020年5月25日〉