〈カカオ調達を伊藤忠商事へ委託、今期から損益への影響を抑制〉
不二製油グループ本社は5月14日、2020年3月期連結決算についての電話会見を開催し、清水洋史社長らが決算概要と今期の業績予想、新型コロナウイルスの影響予想などを説明した。

清水社長は2019年度の実績について、「海外グループにおいて2社を除く19社の決算期を3月に統一したことに伴い3カ月分を取り込んで増えた分が、営業利益で24億円あった。
この要因を除くと、営業利益は(業務用チョコレートの)米ブラマー社の営業赤字に相殺され、実質的には前年横ばいという厳しい結果だった。ブラマー社ではカカオの先物評価損が響いたが、カカオの調達窓口を伊藤忠商事に委託するスキームに変更しており、今期からは損益への影響は抑制される」と前向きな見通しを示した。

2019年度のエリア実績では、日本の売上高は前年比57億8,000万円減の1,651億7,900万円と減収も、営業利益は植物性油脂など全ての事業で増益となり、36億9,600万円増の174億1,800万円。不二製油の営業利益は全体、業務用チョコレート事業ともに過去最高益だった。生産能力がフルキャパシティの中、付加価値商品や、成型チョコなど人手不足に対応した商品にシフトしている。

その他のポイントとして、中国において新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時操業を停止したことで4億円の減益があったが、北米、欧州の植物性油脂事業の好調でカバー。業務用チョコレートのブラジルのハラルド社はレアル安の影響で減益も、懸案の第2工場建設に向けた計画が具体化してきたことを挙げた。

〈コロナは上期まで影響、今期は営業利益で39億円減を織り込む〉
今期の業績予想は、連結で売上高3,700億円、営業利益193億円の減収減益を計画。日本は、新型コロナの影響による外食・土産市場の縮小、オリンピック延期による飲料需要の想定特需の減少などで、売上高1,526億円、営業利益148億5,900万円の減収減益を計画する。

清水社長は「新型コロナの影響が4~6月にピークを迎え、7~9月にかけて徐々に回復し、下期には大きな影響は出ないという前提条件に基づいている。新型コロナの営業利益への影響では、上期に39億円の減益を織り込んでいる」と話した。

経営方針では、「中計最終年度にあたり、目標に少しでも近づけるが、食の安全・安心、健康を最優先し、世界各地の工場の安定稼働の確保に経営資源を集中的に投入する。サプライチェーンの確保についても留意する」と強調した。

また、「中計でポートフォリオを集中した業務用チョコレート事業、とくにブラマー社とハラルド社の収益改善とキャッシュフロー創出に注力する」とし、「手の打ち方がわかってきた」と自信を見せた。コロナの影響を除くと、業務用チョコレート事業は34億円の営業増益を計画している。このうちブラマー社は先物評価損の抑制(20億円程度)、生産性改善による販売数量拡大とコストダウン、シュガーフリーチョコの伸長、中国の赤字ビジネスの切り離しなどで、38億円の増益を見込む。

清水社長は、「コロナ危機は経営改革のチャンスでもある。12日にトーラクの譲渡を公表したが、プラントベースドフード(植物性食)の事業に集中し、中核でない事業のエグジットを積極的に進める。さらに変革を伴ったガバナンス強化、エリアマネージメント強化、食の機能の強化などによりESG経営を徹底する中で、人のために働く、なくてはならない会社になるための長期戦略をトップダウンで行っていく」と強調した。

〈大豆油糧日報2020年5月18日付〉