原料白ごまが高騰、円安収益圧迫、値上げ必至の情勢へ/ごま油動向

原料白ごまが高騰、円安収益圧迫、値上げ必至の情勢へ(画像はスーパーのごま油売り場)
食品用白ごまの国際相場の急上昇や、為替の円安、原油高に伴う資材の高騰などが、加工ごまメーカーの収益環境を圧迫している。

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大豆など他の穀物が高騰する中、ごまの国際相場は比較的安定していたが、主産地国の政情不安、最大輸入国の中国の旺盛な輸入などにより、急騰している。

メーカーの中には製品価格の値上げを検討する動きが出てきた。原料調達コストの上昇は避けられず、今後、値上げ必至の情勢となってきた。

ごまは、世界の生産量が440万tとマイナークロップであり、政情不安などの産地リスクや、中国の動向などで需給バランスや国際相場が急変する可能性を常に抱えている。日本のごま自給率はわずか0.1%以下で、原料はほぼ海外に依存している現実がある。

原料相場の上昇が懸念されていたが、食品用白ごまにおいて現実となった。「相場は、アフリカ産は2020年1,300ドル〜1,400ドル、2021年は1,800ドル弱へ上昇、中米は2020年1,600ドル、2021年は2,400ドルに達した上に、皮むきごまが2,980ドルまで上昇しており、3,000ドルの可能性もある」(商社)、「アフリカ産は高値で2,000ドルのオファーが出てきた。6、7割上昇することになる」(メーカー)。

背景には、白ごま主産地の一つであるエチオピアの内戦激化がある。2020年11月から始まった内戦が長期化している。また、インドの残留農薬問題(エチレンオキシド)の影響で、EU(欧州連合)がインド産から輸入していた皮むきごまを、アフリカ産、中米産へシフトし、相場を押し上げている。

さらに、ごまの最大輸入国である中国は、白ごまを大減産した。「生産量は例年25万t〜30万tだが、新穀は15万tに届かないと見られている。2020年の中国の輸入量は100万tと過去最高を記録した。2021年も100万t以上となる可能性は高い」(商社)。

これら複合的な要因で、相場は高騰傾向にある。追い打ちをかけているのが、為替の円安だ。2021年のドル円相場は、1ドル103円台でスタートした。11月には一時115円台まで円安が進んだ。メーカーの想定にもよるが、為替要因だけでも1割程度上昇する。さらに、世界的なコンテナ不足・海上輸送費の高騰も続いている。

原料在庫事情はメーカー各社により異なるが、これからの原料調達コストの上昇は必至だ。製品の安定供給のためにも、今後、値上げに向けた動きが本格化しそうだ。

〈食品産業新聞 2021年12月10日付より〉