外食ランチ1300円時代に「500円台」維持 海鮮丼チェーン「丼丸」、低価格戦略で売上最大1.3倍

株式会社ササフネ 亀山政典代表
株式会社ササフネ 亀山政典代表

物価高で外食ランチが1000円を超えることが珍しくない中、テイクアウト海鮮丼チェーン「丼丸」は500~700円の価格帯を維持し、売上を伸ばしている。2026年の都内店舗では売上が前年同月比で最大約1.3倍に伸長した。

『ホットペッパーグルメ外食総研』(リクルート)が2026年4月10日に発表した調査(※1) によると、働く人の平日ランチの平均予算は496円、外食の場合は1338円と、いずれも過去最高額となった。こうした環境下で「丼丸」は低価格帯を維持し、支持を広げている。店舗数は現在約300店で、コロナ禍で一時減少はあったものの、同規模を維持している。

値上げが続く外食市場において低価格を実現できている背景には、独自の店舗運営とフランチャイズの仕組みがある。「丼丸」を運営する株式会社ササフネの亀山政典代表は、「食品を含めあらゆるコストが上昇する中でも、これまでと変わらない価格で提供していることが信頼につながっている」と語る。顧客から「まだ値上げしないのか」と声をかけられることもあるという。

丼丸 四ツ木店
丼丸 四ツ木店

〈原価率58%でも成立 固定費圧縮で低価格を実現〉

低価格を支えるのが、固定費の抑制だ。「丼丸」の原価率は平均約58%と、一般的な飲食店(35~40%)と比べて高い水準にあるが、小規模店舗・少人数運営によって採算を確保している。基本的に店舗は10坪以内で、1~2人で運営可能な体制。テイクアウト専門店ならば客席も必要なく、設備投資も最小限に抑えることができる。

「丼丸 四ツ木店」はパン屋の居抜きで開業した
「丼丸 四ツ木店」はパン屋の居抜きで開業した
「丼丸 四ツ木店」 イートインコーナー
「丼丸 四ツ木店」 イートインコーナー

加えて、注文が入るごとに調理する仕組みにより食品ロスを抑制。仕入れはチェーンとしてのスケールメリットを生かす一方で、各店舗が独自ルートで調達することも可能だ。仕入れ先などは本部から紹介するものの、オーナーはそれに従う必要はなく、もっと良いと思った仕入れ先があればそちらを使うことができる。こうした柔軟性の高さもコスト低減につながっている。

〈提供1分以内 スピードで需要を獲得〉

もう一つの強みが提供スピードだ。海鮮丼は盛り付け中心のシンプルな工程で、提供時間は1分以内が基本。昼休みなど時間が限られる人でも使いやすく、「待たないランチ」として支持を集めている。

お任せ海鮮丼
お任せ海鮮丼

〈ロイヤリティは定額3万3000円 自由度の高いFCモデル〉

成長を支えるもう一つの柱が、独自のフランチャイズモデルだ。売上連動のロイヤリティはなく、本部への支払いは月額3万3000円のみ。メニューや価格、仕入れ、営業時間は各オーナーの裁量に委ねられている。

この自由度の高さから、海鮮丼に加えて焼き鳥やタコライスなどを販売する店舗や、週3日のみ営業する店舗もある。初期投資額も比較的低い。物件収得費・工事費による増減はあるが、加盟金を含め約500万円で開業可能とされる。

亀山氏は「本部がルールを押し付けることはほとんどない。売上に関わらず月額3万3000円の定額制としている点も含め、他のフランチャイズを経験したオーナーから驚かれることが多い」と語る。

オーナーの裁量が大きいフランチャイズモデルを作った背景には、創業者の理念がある。

〈「人を縛らない経営」創業理念に基づく仕組み〉

「丼丸」を運営する株式会社ササフネは、大島純二氏が創業した。1979年に大島氏が株式会社ササフネを設立し、「寿司の笹舟」1号店をオープンした。

寿司店をルーツとするが、職人技術に依存しない業態として海鮮丼に着目。2007年に「丼の丼丸」1号店をオープンすると、盛り付け中心のシンプルな仕組みにより、短期間の研修でも開業できる海鮮丼のチェーンモデルを確立。2015年には「丼丸」を130店舗オープンし、テイクアウトに特化した海鮮丼チェーンのパイオニアとしての地位を築いた。

大島氏は創業以来、「人を縛らない自由な経営」を理念に掲げている。

本部ありきで自由のないフランチャイズの仕組みに違和感を覚えた大島氏の「そんなのお互いに面倒くさくないか?」という一言で独自のフランチャイズモデルは生まれたという。

低価格と効率性、そして自由度の高いフランチャイズモデルを組み合わせた「丼丸」は、外食価格の上昇が続く中で独自の存在感を高めている。

「丼丸 四ツ木店」店内メニュー表
「丼丸 四ツ木店」店内メニュー表
「丼丸 四ツ木店」店内メニュー表
「丼丸 四ツ木店」店内メニュー表

※1 出典:「働く人の平日ランチ、全体平均 496 円(前年比+11 円)で過去最高額
「外食」1,338 円、「出前、デリバリー」1,472 円、「自炊・弁当」439 円。ほとんどの食べ方で予算は前年より増額 有職者のランチ実態調査(2026 年 3 月実施)
」株式会社リクルート『ホットペッパーグルメ外食総研』

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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