14年国内冷食生産量、5年ぶりに減少、消費増税・農薬混入問題で

日本冷凍食品協会が16日発表した、2014年1~12月の冷凍食品国内生産高は数量・金額とも前年を下回り、拡大基調にブレーキがかかった。国内生産量は153万6,392tで前年より0.9%減少、5年ぶりに前年を下回った。生産金額は工場出荷額ベース6,759億9,000万円で前年比0.2%減となり、4年ぶりに前年を下回った。家庭用が数量ベースで3.7%減、金額ベースで1.1%減と、中国・天洋食品事件直後の09年以来5年ぶりのマイナス。13年12月に発覚した農薬混入事件の影響が、一部商品分野に色濃く出た。一方、業務用は数量で1.1%増、金額で0.5%増と回復基調が続いた。

14年の国内生産高は全国の419企業511工場(前年422企業513工場)の合計値となる。

生産量の減少要因としては、消費増税による家計消費の低迷があったほか、業界固有の要因として農薬混入事件が影響したと見られる。また家庭用では量販店の価格政策としてEDLPへの転換によって一部チェーンで販売不振が生じたことも影響したと見られる。

家庭用が減少し業務用が増加した結果、業務用と家庭用の生産比率は数量ベースで業務用が60.5%(前年比1.2ポイント増)に対し家庭用39.5%、金額ベースで業務用が58.3%(同6p増)、家庭用41.7%となった。

輸入数量については、前年に引き続き減速感が強まった。14年の「冷凍野菜」輸入量は前年比1.8%減と2年連続のマイナス。「調理冷食」輸入量は会員(30社)合計で7.6%減と5年ぶりにマイナスに転じた。

輸入凍菜では米国西海岸の港湾労使問題によるポテトを中心とした数量減が響いた。一方、調理冷食については全体の6割弱を占めていた中国産が11.4%減(金額は10.3%減)と大幅に減少したことが影響した。

中国産調理品は13年から減速傾向にあったが、上海福喜食品問題を契機に急ブレーキがかかったかたちだ。業務用製品の国内シフトにも少なからず影響があったと見られる。

輸入高を金額ベースで見ると、凍菜は9.4%増と大幅に増加し、円安の影響が色濃い。一方で調理品は4.7%減と13年のような影響は見られなかった。

国内生産量に「冷凍野菜輸入量」(90万7,964t)と「調理冷凍食品輸入量」(26万1,237t)を加算した、冷凍食品の「国内消費量」は、270万5,593tと前年比1.9%減少した。これを総人口(1億2,708万人)で割った国民1人当りの年間消費量は21.3kg(前年比1.7%減)と前年よりも0.4㎏減少した。冷食の総消費量と1人当たり年間消費量は5年ぶりに減少したものの、過去2番目の記録となる。

同日の会見で木村均専務理事は「輸入品の凍菜は港湾問題でポテトが減少した影響が大きく、一過性のものだ。家庭用の減少も一時的なものと見ている。消費増税の影響は賃金上昇によって消費全体が高まることで、全品割引の変更も一巡すれば需要は増えていく。もちろん各社の努力が前提だが、業務用も含め今後も増加する要素はある」と述べた。