〈18年9月の需給展望 牛肉〉季節的に上昇も大きな上昇は難しいか

和牛枝肉相場の推移(東京市場)
〈和去A5は2,800円前後、A3は2,250円前後〉
8月の牛肉販売は、7月の西日本豪雨の被害に加えて、猛暑と相次ぐ台風の上陸で前年を大きく下回った。旧盆休みも西日本では、豪雨被災地の復旧がなかなか進まない中でハレのイメージのある牛肉消費が伸び悩み、東日本でも猛暑でBBQや焼肉が敬遠され販売不振が目立った。特に焼材が不調で、夏場にも関わらず切落しのみが動く状況だった。このため東京食肉市場をはじめ枝肉相場は、当初は前月を下回ると見込まれていたが、和去A5こそ下げたものの、総じて前月を上回った。これは、月末にかけてコスト高の子牛を肥育し出荷時期を迎えた生産者が、採算を考え相場安が見込まれる8月を避け、出荷を先延ばしたことで相場が下支えされたと見られる。実際に、出荷頭数は和牛で前年比4.0%減少(日々の概算値の積上げ)、交雑を含む乳牛では8.4%減少した。

9月は、月初に大型台風の上陸が見込まれるなど状況は良くないが、量販店では後半は2回の連休があり、曜日回りの関係で土曜日が5回あること、29日(肉の日)が土曜日であることで販促をしやすく、8月の不振を挽回すると期待される。ただ、過大な期待はできない。15日以降、連休を中心に販促が行われるが、極端に量を売るような形ではなく、ロスを少なくする堅実な売り方となりそうだ。その場合、価格的な面で輸入牛肉が販促の中心と見られる。

出荷は、8月出荷予定を先延ばしされた和牛が出て比較的潤沢な供給が見込まれる。これらを勘案すれば、季節的に8月の相場を上回るものの、上昇は小幅にとどまると見込まれる。2018年8月の東京食肉市場の規格別の価格(生体、税込み)をみると、和去A5が前月比39円安の2,795円、A4は25円高の2,446円、A3は42円高の2,208円、A2は26円高の1,974円、交雑B2は37円高の1,389円、乳去B2は8円安の1,105円となった。和去A5は、ここまで外食、インバウンド、銘柄牛が相場を支えてきたが、天候不良による外食の不調などから下げた。その他の等級では、東京市場の和去A4は7月の出荷頭数1,185頭が8月には1,048頭に減少するなど、出荷の減少から上昇した。

交雑種も、頭数減とともに高値の和牛からの移行があったと見られる。ホルスは、学校給食の無い8月は例年緩むものの、今回はわずかな下げにとどまり、1,100円台と高値を維持している。

交雑種・乳雄枝肉相場の推移(東京市場)

交雑種・乳雄枝肉相場の推移(東京市場)

前年比(グラフ参照)でみると、ここまでほぼ前年並みの和去A3が前年比で168円上回り、交雑B2、乳去B2も前年を大きく上回った。9月の生産見通しは農畜産業振興機構の予測によると、成牛の出荷頭数は4.2%減の8万1,400頭と見込まれる。品種別の出荷頭数は、和牛は4.4%減の3万3,300頭、交雑種は0.6%増の1万9,500頭、乳用種は7.5%減の2万7,400頭が見込まれる。牛肉(チルド)の輸入量は、同機構の予測で8月は3.8%減の2万4,500t、9月は6.3%減の2万3,600を見込む。8、9月とも米国産の輸入量が大幅に増加した前年同期を下回るため、輸入量全体でも前年を下回る見通し。

しかし、国内の出荷見通しは、8月に和牛の肥育農家が出荷を先延ばしし、これが9月に出荷されるとすれば、この予想を上回ると考えられる。足元の輸入チルドの状況をみると、7月、8月の需要の減退に対し、7月は2.6万tと多く、余剰分が8月に持ち越され、さらに8月も2.5万t前後とすれば、さらに在庫として9月に持ち越されたと見込まれる。9月後半から10月入荷を絞るとしても在庫を消化するには、少なくとも10月一杯はかかるとの見方に聞かれる。

8月の首都圏の量販店では、もともと旧盆時期は、行楽や帰省の関係で数字的には良くないものの、今年は猛暑、台風との気象条件から前年をさらに下回った。BBQ用や焼肉セットをメインに販売したが、これが動かずロスも多かった。結果的に売れたのは、汎用性のある切落しという、例年とは全く違う展開となった。国産関係では、高値の和牛は不振だったが、交雑種のステーキが売れたとの話が聞かれる。卸関連に聞くと、旧盆需要は、リゾート関連の外食は好調だったが、西日本、首都圏は不振、帰省客の関連で東北の一部が好調だったという。結果的に、全体では前年には届かなかった。

9月の販売方針を量販店などに聞くと、後半に連休が2回あること、土曜日が5回あり、29日の「肉の日」が土曜日に当たることで販促が打ちやすいとし、前年を上回ると期待している。ただ、和牛をチラシに入れるものの、多くはなく、交雑牛である程度価格を出すとの方向だ。

輸入牛肉は米国産チャックアイのステーキ、豪州産のモモステーキ(塊り)などを週末の目玉にする形が多いと見込まれる。ただ、天候要因もあり、「無理をしない」売り方でロスを減らすとし、大々的な販促は難しい状況だ。

これらを勘案すれば、9月の相場は季節的に8月を上回るものの、大きな上昇は難しく、和牛去勢A5で2,800円前後、同A3は2,250円前後、交雑B2も1,400円前後と見られる。乳去B2は頭数不足で底堅く1,100円前後とみられる。交雑種は、量販店の引合いがあり、さらに上昇することも想定される。A5、A4等級は、同じ等級でも品質にばらつきがあり、出荷頭数の品質によって上振れ・下振れがあり得る。

〈畜産日報 2018年9月5日付より〉