米国産チルドビーフの11月生産・年末玉のオファー提示始まる、ショープレで1割以上、チャックアイで2割上昇との声も、為替も円安に

今週に入り米国産チルドビーフの11月生産・年末玉のオファーの提示が始まった。中国の米国産牛肉の輸入解禁に向けた思惑によりフローズンでは、ショートプレートの価格が急騰しており、チルドの動向が注視されていた。本紙の聞き取りによると、パッカーによってバラツキはあるものの、ショートプレートで10~15%上昇、チャックアイロールで20%前後の上昇と言われる。ショートプレートは、中国問題の余波もあるが、旧正月需要が入り上昇する時期でもある。またチャックアイは、夏場までは比較的安価で大量に輸入されたが、米国現地で大手量販店の特売で相場が上昇、その後も高値で推移していることから20%高という高めのオファーとなった。本紙の仲間相場で単純に試算すると、ショートプレートは770円前後、チャックアイはチョイスで1,320円前後に上昇することになる。また、為替も前月に比べれば、円安に振れており、その分コストも上昇する見通し。

現在、サプライヤーとの価格交渉、買付が行われているが、足元の売れ行きが依然として良くない中で、買付には慎重にならざるを得ない。チェーンストア協会の販売データによると、畜産品の売上高は8月に0.9%減、9月に1.9%減と2カ月連続で前年を下回った。またスーパーマーケット協会によると、

9月は「和牛は伸び悩みで輸入牛肉へのシフトがあった」としているが、サプライヤーとしては、7~8月に余剰感が強かったことで、9月の輸入量を絞っており、輸入牛肉の販売自体は決して好調ではなかった。

10月に入ってからも「体育の日」の連休は悪天候に見舞われ、その後も天候不順で野菜が高騰していることもあって、鍋需要をはじめ牛肉・豚肉の販売は不振と言われる。ただ、輸入牛肉については、米国産で手当てを絞ったこと、豪州産は現地の出荷頭数が少なく輸入量が減少していることで過剰感は出ていない。むしろ部位によってはタイトな状況となっている。

その中で、年末玉の買付けをどうするか難しいところだ。天候不順もあり、衣料品など季節商品の動きが悪く、全体の消費に勢いがない。牛肉・豚肉についても、野菜の高騰が収まり鍋需要が本格化するのはいつごろか不透明だ。売れ筋のショープレ、チャックアイの価格が上昇する中で、年末玉を強気に手当てすることは難しいと見られる。また、今年はチルドのショープレが大量に入り、それがチルフロに回り国内市場が混乱したこともあり、これらを踏まえれば、オファー価格を睨みながらエンドユーザーの意向を踏まえ、必要な分の手当てにとどめることになりそうだ。