ユーザー生成型コンテンツ“UGC”から生まれる宣伝効果、“ボツ企画”から「外食戦隊ニクレンジャー」実現も

Twitterから広がった「外食戦隊ニクレンジャー」
〈SNSの活用で“親密さ”演出〉
インターネットを使った提案が広がっている。食品業界も例外ではない。ユーザーと一緒になって周知活動を盛り上げる動きもあるが、最近では消費者が自発的に作った動画や写真などをネット上にアップすることで、宣伝効果が生まれつつある。こうしたユーザー自身が生成したコンテンツ「UGC(User Generated Contents)」を、企業でも広告そのものに活用するなどの動きが見られる。

〈SNSから広がった「ボツ企画」〉
11月9日に開かれた「WOMJ クチコミフェスタ2018」。この中で、吉野家、すかいらーくホールディングス、日本ケンタッキー・フライド・チキン、モスフードサービス、松屋フーズの、外食大手5社がメーカーの垣根を越えて取り組む「外食戦隊ニクレンジャー」の舞台裏について講演を行った。

「WOMJ クチコミフェスタ2018」

各種事例が紹介された「WOMJ クチコミフェスタ2018」

この活動は、前述した肉関連企業5社が、手作り感のあるイラストを、各社のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)のTwitterからアップし、それを見た人がイラストや曲などを独自に作り、広がっていった。アニメ好きなどが集まるコミックマーケットでも、ニクレンジャーのコスプレをする人もいたという。
 
そもそもの発端は、今年7月に吉野家がボツ企画の「肉関連企業5社を集めてニクレンジャーを結成する」という内容を、Twitter にアップしたことから始まる。企画は話題を集め、参加した各社ともプライベートなどでつながっていたこともあり、実現した。最初はそこまでの期待はなかったが、SNS上の広がりでウェブページのアクセス数は向上。一般消費者の多くは取り組みを好意的に捉え、SNSに自作のコスプレ写真などをアップ。これが各社のイメージの向上などにつながった。取り組みに懐疑的だった社内の空気も、結果が表れるとともに風向きが変わり、「前向きにとらえるようになった」(担当者)とのこと。
 
こうしたファンを作る取り組みには、情報を広く拡散する上で重要な効果がある。例えば、自動車メーカーのトヨタ自動車が、Twitter公式アカウントで1日に発信するツイートを1とした場合、ハッシュタグでトヨタをつけたツイートの数は90倍にもなる。自社からの情報発信以上に、ファンから発信される情報のほうが多いため、ユーザーの心をうまく刺激して拡散させることで、新しい顧客層の獲得につながる可能性もある。
 
そこで有効なのがUGCだ。一般の人が撮った写真や動画で拡散してもらえるようにし、他の人により身近に商品などを感じてもらう取り組みだ。最近ではアプリのダウンロードランキングで広告を非表示にする、アドブロックアプリが上位に入るなど、広告への不信感も見られる。商品やサービスを身近に感じてもらうことで発信したいと思ってもらえるにはどうするかが重要になる。
 
例として、飲料メーカーのキリンでは、サッカーの日本代表を応援するためのアプリ「キリンファンゾーン」をリリース。アプリから写真を撮影でき、フォトフレームを選ぶことができる。この取り組みの特長は、サッカースタジアムで流れるCMやプロモーションなどで、撮影した写真が流れることがある点だ。映像に採用された人がSNSを通じて発信し、ブランド認知を一層高められる。
 
サントリーでは、自社のウェブサイトで商品ごとにユーザーの声を集めたサイトを開設。投稿することで懸賞の当選確率が上がるほか、実際に商品を使ったユーザーからの感想を見ることができる。感想や写真などの投稿を見た別のユーザーが興味や関心を持ち、購買などにつながる可能性もある。こうしたSNSの活用は、今後も広がりを見せそうだ。
 
〈広がるSNS利用〉
最近では、中高年のネット利用も広がっている。総務省が発表した「情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、普段のネット利用でソーシャルメディアの閲覧や投稿にかける時間は、平日における全年代の平均時間は27.0分、休日は31.2分で、休日のネット利用の中では最も長い。

スマートフォンは広い年代で利用が増加

スマートフォンは広い年代で利用が増加

主に使うソーシャルメディアは、「LINE」が75.8%と最も高く、60代を除く全世代で6割を超える高い利用率となった。その他利用の多いSNSは「Facebook」「Twitter」が続いた。Twitter など多くのSNSは20代以下の利用率が非常に高い。
 
中高年の利用率が高いSNSもある。Facebook だ。30代の利用率が46.6%、40代が34.9%、50代が26.7%で、他と比べて中高年の利用率が高い。スマートフォンの普及率も全体では80.4%で、50代の利用率は74%になるなど、広く浸透している。UGCを活かした各種キャンペーンを手掛ける、シャトルロックジャパンの青柳洋平氏は「中高年も視野に入れた提案が今後は重要になる」と語った。
 
〈冷食日報 2018年11月20日付より〉