イオン「トップバリュ」茶飲料4品に回収ペットボトルのリサイクル樹脂、資源回収の活用“分かりやすく伝える”

回収ペットボトルのリサイクル樹脂を使用する「トップバリュ」茶飲料4品
イオンは、3月1日から「イオン」「イオンスタイル」「マックスバリュ」など全国約1600店舗で、有機JAS認証取得の原材料を使用した「トップバリュ グリーンアイオーガニック」茶飲料4品目をリニューアル発売する。

この商品で使用するペットボトル本体の原材料は、イオン店舗の資源回収ボックスに、買い物客が持参した使用済みペットボトルを再製品化する「ボトル to ボトル プロジェクト」を通じて調達したもの。これにより、年間で約350トンの化石由来のバージンプラスチックが削減できるという。

イオンは、資源循環型社会の実現に向けて、使い捨てプラスチックの使用量を2030年までに半減する目標を立てている。「トップバリュ」で展開するすべての商品で環境・社会に配慮した素材を使用するとともに、ペットボトル飲料で使用するペットボトルは、持続可能な100%再生、または植物由来の素材へ転換する取り組みを進めている。 

2月28日に開いたオンライン発表会で、イオン環境・社会貢献部の鈴木隆博部長は次のように語る。「資源回収にご協力いただいたお客様に、その資源をどう有効に活用しているのかを伝えられるか。このような取り組みで見える化をしていきたい。そして、わかりやすくお伝えすることで、より多くのお客様に共感いただき、取り組むことが重要だと考えている」。

これまでもイオンは、店頭で買い物客から回収した資源の一部をプライベートブランドの商品の原材料として再利用してきた。現在、ペットボトルは、年間約1万2000トンがきれいな状態で回収できているという。これは、イオンの利用客が使用済みの容器を洗浄し、ラベルを剥がした状態で回収に協力しているためという。

ただ、リサイクルの用途はさまざまであり、水平リサイクルで再びペットボトルになるケースは少なかった。こうした状況により、昨年からイオンは丸紅と共同で「ボトルtoボトル」の取り組みを開始した。回収からリサイクルまで、一気通貫のリサイクルループを通じ、安定的で持続的な資源循環型モデルを目指している。

イオンは、2020年の使い捨てプラスチックの使用量が総量で7万3000トンとなり、2018年比で9%削減できたと発表。また、無償配布しているカトラリー(スプーンやフォーク)を木製や紙製に切り替えることも発表している。

清涼飲料業界でも、「ボトルtoボトル」の取り組みが急ピッチで進んでいる。サントリー食品インターナショナルは3月1日から、住友不動産と協働し、住友不動産が保有・管理する新宿区内の大規模オフィスビル3棟「新宿住友ビル」「住友不動産新宿グランドタワー」「住友不動産新宿ガーデンタワー」から集められたペットボトルを回収・再生して新たなペットボトルに生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」水平リサイクルを開始する。

回収にあたり、オフィスビル利用者に向けた分別の啓発もサントリー食品と住友不動産が協働して実施するという。また、リサイクル素材100%でできた「100%サステナブルボトル」の飲料容器を含むサントリーの商品を、住友不動産グループが運営するオフィスビル併設型コンビニエンスストア「リーベンハウス」で販売することにより、オフィスビルにおけるペットボトルという「資源」の循環を推進していく考えだ。今後、両社で規模拡大を検討していく考えとしている。 

コカ・コーラシステムも、100%リサイクルペットボトルの取り組みを推進している。2019年にセブン-イレブンで展開した「一(はじめ)緑茶 一日一本」を皮切りに、2020年に全国展開するブランドで初となる「い・ろ・は・す 天然水」、2021年には、満を持してフラッグシップブランド「コカ・コーラ」にも導入した。

2022年2月時点の100%リサイクルペットボトル商品は、5ブランド37品で展開している。さらに、リサイクルを生活者がより認識できるよう、商品に「リサイクルしてね」のロゴを導入。全体の半数にあたる約400SKUまで広げている。

サントリー食品、コカ・コーラシステムともに、循環型社会へ貢献する活動としてペットボトルの持続可能なサステナブル素材の使用率を高め、今年中には全体の50%の構成比まで高める考えを発表している。