〈新春インタビュー2018〉ライフコーポレーション代表取締役社長・岩崎高治氏 人への投資で働きやすい職場に

〈21年度に売上高8000億円へ〉
ライフコーポレーション(東京都台東区)の18年2月期は、5期連続で既存店売上高が前年超えの着地の見込みだ。好調な理由は客数が増加しているためだ。同社は半径1km圏内のシェアが約10%で、これを11%に引き上げるための施策を続けてきた。これが着実に実を結んでいると言える。

来期からの第6次中計では、人への投資を柱に掲げる。働きやすい職場にすることで離職率を減らす。接客レベルも向上させ、実店舗の魅力を高めることで、ネット通販にも対抗し、2021年度には売上高8000億円、経常利益200億円の達成を目指す。

――2017年を振り返って

景気はゆるやかな回復基調にあるが、実質賃金は横ばいが続き、将来の不安もあり、消費の冷え込みが懸念される。ただ、5期連続で既存店が前年を超えそうで、当社の業績は悪くない。食品が前年比2%増と好調なのに加え、今期は生活関連が4%増、衣料品が1%増で引っ張ってくれている。ドラッグストアの売り方を勉強した。ドラッグの売れ筋、特に付加価値品が当社には入ってなかった。ドラッグに負けない価格にした。それまでは顧客の半分が、生活関連品は他店で買っていたようだが、意外と安い、いい商品があると認識してもらえ、当社で買ってもらえるようになった。

衣料品は東京と大阪の商品部が合同で商品開発するようになり、マスメリットが出るようになった。当社はSM(食品スーパー)だが、衣料品もあることがライフらしさでもあり、顧客の来店動機にもなっている。引き続き衣料品は強化していく。

――2017年は第5次中期3カ年計画の最終年度だが中計の総括を

計画通り700億円を投資して出店と改装、物流センターやPC(プロセスセンター)を整備した。3年で売上高を1000億円増やす目標は達成した。ただ、利益は計画を下回った。

〈4年で50店、都心にも出店〉
――来期からの第6次中計はどんな内容か

6年前に「NEXT10」と題し、10年後のビジョンを出した。これに合わせて、第6次中計は4年でやる。店舗数は320店ぐらいで目標の400店には達しない。ただ、今の既存店の成長を維持して、1店舗の売上高を増やすことで、売上高8000億円、経常利益200億円は達成できると見ている。

17年度から18年度にかけては壊すものを壊し、作り変えるものは作り変える。19年度の消費増税に耐えられる準備をする。

やることは4つ。まず「人への投資」で、これが中計の柱になる。東西で900人いる本社の人員をスリム化して、店舗に振り向ける。店の人員を厚くして、サービスや現場力を高める。本社はシステム化して働き方を変える。今春の新入社員は300人採用し、例年より多い。今まで本社から店への指示が多すぎた。店舗の裁量を増やして、やりがいを高める。社員の処遇も改善する。今年の春闘では、政府が要請しているベア3%以上を回答するつもりだ。女性やシニアなど多様な人材が働けるようにする。シニアは5歳ずつ待遇を引き上げる。従業員がいきいきしていないと接客もよくならない。処遇改善の原資は、客数の増加と売上高の増加から生み出す。4年で既存店売上高を15%上げれば吸収できる。過去3年の実績を見ても、無理な数値ではない。

教育への投資も行い、次期幹部候補の部長、東西11人ずつを集めて、私が講師の経営塾を始めた。課題図書を読んでもらい、それに基づいて話をしている。上に行くと広い視点、マネジメントやリーダーシップ、組織改革をどうやるのかということが必要になってくる。成果は上がっている。もっと早く取り組んでいればよかったと思う。

2つ目は「店への投資」。4年で50店出店し、改装に毎年40億円投資する。出店は首都圏が30店、近畿圏が20店。首都圏は都心や駅前に小型店も積極的に出店していく。当社には吉祥寺店(東京都武蔵野市)、笹塚店(同渋谷区)など150坪の小型店がすでにある。山手線の内側にも既存店が5つある。

3つ目は「ネットスーパー」。5~6年前から始め、現在38店で20億円の売り上げ規模になった。17年度上期に4店舗で黒字化を目指して達成した。黒字にするやり方やポイントがわかってきたので加速していく。

4つ目は「カード戦略」。昨年、独自のクレジットカードと電子マネーを出した。クレジットカードと電子マネーの利用者はロイヤリティが高く、客単価も高い。セミセルフレジとの相性もよく、この2つの決済比率を50%まで高めたい。

ポイントも見直して、より高いプロモーションンを打っていく。一部店舗で実験導入している「Ponta」を、18年春から全店に導入する。3種類のカードで顧客の利便性を高め、ライフの強みにしていく。

――何を壊すべきで何を壊さないのか

本社と店舗の関係を見直す。現場は一生懸命やっているのに、本社が口を出しがちだった。変えないのはDNA。当社には人に優しいという社風がある。これは変えない。

――アマゾンフレッシュなど、ネットが生鮮食品販売に参入してきているが、対策は

生鮮の鮮度を高める、惣菜がおいしい、接客がよいなど、実店舗の魅力を高めていく。メニュー提案がある、ライフに行くと楽しいなど、情緒的な価値が伝わる店づくりをしていけば、対抗できると考えている。その一方でネットも強化する。現在の38店舗を100店に、20億円の売上高を200億円ぐらいに引き上げたい。

――ライフにとっての社会貢献とは

第6次中計の柱は人。従業員がハッピーになることがなによりの社会貢献だと考えている。ライフラインとして、顧客に買い物の楽しさを伝えていく。ライフが栄えれば、取引先や株主にも還元されていくはずだ。

〈食品産業新聞 2018年1月1日付より〉