輸入菓子が伸長、メリハリ消費で2000円以上の商品も人気

近年の輸入菓子市場は、日常のご褒美やカジュアルギフト需要を捉えて堅調だ。コロナ禍から引き続きスナックとグミが好調に推移している。チョコレートでは無垢の板チョコやアソート品を中心に値上げの影響をうけているが、買い求めやすい価格のチョコ菓子やビスケットがその受け皿となっている。国産を含む菓子市場全体でメリハリ消費傾向が強まるなか、英国展やフランス展を中心とする催事やイベント会場では2000円以上の高単価品もよく売れている。
2024年の主な輸入菓子通関実績は、前年から数量5.4%増、金額10.6%増となった。今年1~7月の実績は数量10.1%増、金額4.1%増となり数量・金額共に伸長した。コロナ禍以降、需要が拡大しているグミやポテトチップスを中心とするスナックは、直近でも安定した売れ行きだ。
相次ぐ値上げの影響でチョコレートは苦戦している。これまでコストパフォーマンスの高さが支持されていたアソート品や日本市場になじみのない板チョコの動きも鈍い。
価格を抑えられるチョコ菓子やビスケットは、それらに代わって好調に推移しており、輸入菓子全体では堅調な動きをみせる。
品質管理とコスト対応の一環で年々、国内リパック品が増え、専門店だけでなく、スーパーやCVS、ドラッグストアへと輸入菓子の配荷先は広がった。リパック品が増加するなか、国産菓子では値上げが進み、輸入品との店頭価格の差が縮まっている。
海外旅行を自粛する代わりに、コロナ禍に輸入菓子を購入した人は多く、かつてのような目新しさは薄れつつある一方で、「どうせ買うのなら輸入を選んでみようという人が増えている」(輸入菓子代理店)ことは輸入菓子市場にとって追い風だ。
例えば、日本フェレロでは誕生60周年を迎えたヌテラを使った菓子「ヌテラビスケット」「ヌテラビーレディー」の2品を昨年発売し、事前予想を大きく上回って売り上げを伸ばしている。ヌテラの高い知名度と購入しやすい価格でヒットし、若年層のブランドエントリーに貢献しているという。

豊産業が今年7月に取り扱いを始めたブルーノスナックも20~40代女性に人気だ。健康志向に配慮したグルテンフリー設計とおいしさのバランスから支持を得ている。

鈴商が展開するビーフジャーキーのテングは昨年、定番の「レギュラー」とデザインが似ていた「ホット」のパッケージの色を赤から黒へ変更し、店頭視認性を高めて売り上げを大きく伸ばした。チョコレートのハーシー(アメリカ)やスナックのフリトレー(アメリカ)も底堅い売れ行き。

三菱食品では今秋、グミのハリボーから新商品「ハッピーグレープ」を発売する。3種のグレープ味と2種の食感が楽しめる期待の商品として、配荷拡大をめざす考えだ。チョコレートのリンツからはピスタチオ味を投入し、ミルクやアソートに続く第3フレーバーの定着へ向けて販促を強化する。

宝商事は、韓流ドラマに登場して話題のコピコにおいて、売れ筋のブリスターパックから新味を投入する。カートライト&バトラーなど新ブランドも複数展開し、新規ユーザーの獲得をめざす。
