2024年度のスチール缶リサイクル率は94.4%で過去最高を記録/欧米と比べても高水準

2024年度スチール缶リサイクル率は94.4%で、過去最高となった。スチール缶リサイクル協会は15日、都内で2024年度(24年4月~25年3月)スチール缶リサイクル率、2024年度スチール缶リデュース率について説明会を行った。
冒頭、理事長の廣瀨孝氏は「スチール缶は鉄でできていて、何にでも何度でもリサイクルされる循環型の素材だ。スチール容器を使っていただき、リサイクルすることが地球環境を維持することにつながっていることを、できるだけ多くの消費者、特に将来を担う若年層を中心にご理解いただくことが、スチール缶リサイクル率の維持向上に繋がると考えている。今後もこの考え方をベースに工夫を重ねながら、さまざまな啓発活動に取り組む。また、飲料メーカーや食品メーカーなど、スチール缶をご利用の事業者の方々とのさらなる連携強化を図りたいと考えている。スチール缶に関わる幅広い方々との連携を通して、さらなる啓蒙啓発活動の強化、リサイクル率の向上などに繋げていきたい」とあいさつした。

〈日本のスチール缶リサイクル率は欧米と比較して高水準〉
2024年度スチール缶リサイクル率が94.4%だったことにより、2021年度から始まり2025年度を目標年度とする自主行動計画2025のリサイクルの数値目標「93%以上維持」を達成するとともに、2011年度以降14年連続で90%以上を達成した。
副理事長の倉持隆志氏は「スチール缶のリサイクルはクローズドループリサイクルであり、鉄として再資源化されるとさまざまな鉄製品になり、何度でも繰り返しリサイクルされることから、カスケードリサイクルと比べて、天然資源の削減や廃棄物の削減に大きく貢献する。海外でのスチール缶のリサイクル率は、ヨーロッパでは平均82%(2023年度実績)、米国は58%(2019年度実績)となり、日本での94.4%という実績が非常に高いレベルであることをご理解いただけると思う」と述べた。

〈カーボンニュートラルに向けた二酸化炭素削減・リデュース率の向上〉
また、カーボンニュートラルに向けて果たすスチール缶リサイクルの役割として「2024年度のスチール缶の再資源化量は、およそ27万6,000tだった。1tの鉄スクラップをリサイクルすることで、1.28tの二酸化炭素の排出を削減できると言われている。単純計算だが、2024年度のスチール缶のリサイクルによって約35万3,000tの二酸化炭素が削減されている」とした。
2024年度スチール缶リデュース率は、2004年度を基準年度として1缶当たり10.06%減(3.27g/缶)の軽量化となった。2023年度実績の1缶当たり9.86%減よりさらに0.2ポイント軽量化が進み、実施行動計画2025の目標である「2025年度までに1缶当たり9%減」を初年度から4年連続で達成している。
そのほか、スチール缶の散乱防止・再資源化を推進するために普及啓発・広報活動を展開している。具体的には「散乱防止・美化キャンペーン活動」「環境イベント等への出展」「製鉄所等見学会の実施」に加え、新たに「マンガを使った普及啓発」を実施。“スチール缶=鉄”という認知が低いことから、「スチール缶の素材が鉄であるということや、繰り返しリサイクルされ何度でも生まれ変わることができる、リサイクル性能が高い素材であることを若い世代に伝えるために、その世代との親和性が高いと思われるマンガを活用して普及啓発する」としている。同協会のHP上で9月に第1話を公開しており、今年度内に第4話まで公開予定だという。