バレンタインは「配る日」から「自分を労う日」へ 物価高で変わるチョコ事情
株式会社インテージの調査によると、2026年のバレンタインで「チョコレートを渡す予定がない」とする人は4割を超えた。チョコレートの値上がりが影響し、義理チョコや友チョコ、家族チョコが縮小している。一方で、自分用や本命向けの購入は底堅く、バレンタインは今、職場や周囲に配るイベントから、大切な相手や自分自身を労う日へと、その意味合いを変えつつある。
■「渡さない」人が4割超に 物価高が直撃した2026年
インテージが全国の15~79歳の男女5,000人を対象に行った調査によると、2026年のバレンタインで「チョコレートを渡す予定がない」と答えた女性は42.8%に達した。前年から4ポイント増加しており、2024年以降続く増加傾向が今年も継続した形だ。

特に落ち込みが目立つのが「義理チョコ」や「家族チョコ」だ。一方、「自分チョコ」は21.3%と横ばいで、厳しい家計環境の中でも、自分の楽しみを確保しようとする姿勢がうかがえる。
実際、バレンタインの予算は減っていない。個人でチョコを用意する女性の平均予算は4,943円で、前年比8.1%増となった。ただし、その理由は「チョコの値上がり」(63.6%)や「物価高・円安」(39.8%)が上位を占め、「おいしいものを買いたいから」といった前向きな理由は減少している。
■板チョコは200円目前 “高級品化”するチョコレート
バレンタイン商戦にも、物価高の影響が色濃く表れている。インテージの小売店販売データによると、板チョコレートの平均単価は2022年上半期まで100円前後(税込み)で推移していたが、その後上昇を続け、2025年9月には199円と、200円に迫る水準まで高騰した。

こうした価格変化を、消費者も強く実感している。調査では、女性の81.3%が「チョコレートが値上がりしていることを知っていた」と回答。値上げが行動に影響すると答えた人は約7割にのぼり、「価格帯の低い商品を選ぶ」「購入個数を減らす」といった工夫が広がっている。
バレンタインは、もはや“気軽に数を配るイベント”ではなくなりつつある。
■それでも購入意欲は「5割弱」 誰に、いくら、どう贈る?
一方で、バレンタインそのものが消費者から見放されたわけではない。ぐるなびが行った調査(回答者:会員1,300人)では、女性の48.2%が「バレンタインにチョコなどを購入する予定がある」と回答している。
贈る相手の最多は「配偶者」で約5割。次いで「子ども」「自分」が3割弱で続き、30代では「父親」が上位に入るなど、家族内での贈答が中心となっていることが分かる。

予算の総額を見ると、「1,500~2,000円」と「3,000~5,000円」が拮抗し、全体の半数以上は3,000円未満に収まっている。チョコレート1商品あたりの最高額も1,000~2,000円帯がボリュームゾーンで、高額化が進む中でも“無理のない範囲で楽しむ”姿勢が主流だ。
■ネット通販が伸長 百貨店も体験型に注力
購入場所では、百貨店が依然としてトップだが、注目されるのがインターネット通販の伸長だ。2026年は26.3%と前年から大きく増加し、「自分の好みに合った商品を効率よく選びたい」というニーズが強まっている。
あべのハルカス近鉄本店の2026年のバレンタイン催事では、昨年より15ブランド多い160ブランドを揃え、幅広いラインアップを展開。全10種のソフトクリームや、日替わりのチョコレートパフェといったイートインスイーツにも注力した。同店では、前年比7%増の売り上げを目指している。

■義理チョコは「衰退した」 7割が実感
義理チョコ文化の変化は、よりはっきりと数字に表れている。くふう生活者総合研究所が5,967人を対象に行った、2026年バレンタインデーについての調査では「義理チョコは衰退した」と感じている人が約7割に達した。「完全になくなった」と答えた人も半数近くにのぼる。

理由として多く挙げられたのは、「贈る側・もらう側の負担が大きい」「職場や学校の雰囲気として求められていない」といった声だ。実際、インテージの調査でも、有職女性の85.4%が「職場の義理チョコに参加したくない方だ」と回答しており、この数値は2022年の調査開始以来の最高値となった。
一方で、義理チョコが減ることを肯定的に捉える声も多い。「気を遣わずに済む」「チョコが好きな人が純粋に楽しめるイベントになった」といった意見が寄せられている。
■定着する「自分チョコ」 7割が“ご褒美”を重視
義理チョコが後退する一方で、存在感を増しているのが「自分チョコ」だ。くふう総研の調査では、バレンタインに自分用のチョコを購入する人は42.9%にのぼり、そのうち72.2%が「自分へのご褒美・プチ贅沢」を目的としている。
「年に一度、少し高いチョコを買うきっかけ」「自分を労うイベントになった」といった声も多く、バレンタインを“誰かに想いを伝える日”から“自分を甘やかす日”として再解釈する動きが広がっている。
この傾向は、特定の世代に限らない。ぐるなびの調査では、20代から60代まで幅広い層で「自分用」需要が確認されており、最も多いのは20代と60代でともに37.3%にのぼった。これらの調査から、自分チョコは一過性のブームではなく、定着した文化といえそうだ。

■バレンタインは「厳選」と「二極化」へ
3つの調査に共通するのは、「バレンタイン消費が消えたわけではない」という点だ。確かに、渡す人数は減り、義理チョコは衰退している。しかしその一方で、消費者は限られた予算を「大切な人」や「自分自身」に集中させている。
チョコレートの値上がりは、消費を抑制するだけでなく、「誰に、何を、なぜ贈るのか」を問い直すきっかけにもなった。結果として、バレンタインは“量のイベント”から“質のイベント”へと姿を変えつつある。
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