2026年バレンタイン商戦は“ご自愛”が焦点に カカオ高騰で「チョコ以外」や「国産」増加

松屋銀座は、国産素材を使った国内ブランドの取り扱いを前年から3割増やす
松屋銀座は、国産素材を使った国内ブランドの取り扱いを前年から3割増やす

バレンタイン商戦が過熱している。カカオ豆高騰の影響が広がる中、百貨店各社は焼き菓子などチョコレート以外の商品の拡充とイートインメニューの強化に力を注ぐ。メーカーは主力ブランドから限定品を投入、板チョコを起点とする手作り需要も喚起する。メリハリ消費傾向が強まる中、各社は「ご自愛」需要に焦点を当て、販促策を展開している。

◆自分用途が市場拡大をけん引

近年、日本におけるバレンタインは義理チョコ文化が衰退する一方、家族や恋人、友人など、身近な人へチョコを贈る習慣が定着している。さらに、それらを上回るペースで自分自身への用途が増え、市場拡大をけん引している。長引く物価高で家計防衛意識は高まっているが、年に一度のビッグイベントに対する消費者の購買意欲は高い。

◆百貨店は「脱チョコ」を提案、イートインも強化

百貨店各社では近年、ECの予約時期を早め、日本初登場ブランドや限定品の取り扱いを強化している。3000円台を中心に、ワンコイン以下から1万円を超える高価格品まで幅広い価格帯を取り扱う。他の催事に比べてバレンタイン期間は若年層の来店比率が高く、未来の顧客獲得が期待できる。そのため各社はイートインメニューの充実や人気パティシエによる店頭販売で来店誘致を図ってきた。

ECと店頭の両輪で顧客獲得に努めたことで、バレンタイン期間の売り上げは伸長傾向だ。そごう・西武は25年バレンタイン期間の売り上げのうち、ECを中心とする1月中の売上構成比が5年前の1割から3割まで拡大した。イートインの強化で客単価が上がり、店頭の売り上げ(8店舗)も5年前に比べ約8%伸びたという。「1月中は自分用で高単価品や限定品が動く。バレンタイン当日が近づくにつれ、プレゼント用途の商品が選ばれている」(マーチャンダイジング部フード担当マーチャンダイザーの杉田大樹氏)。

こうした状況下、今年はカカオ高騰の影響を避けつつ、商品のバリエーション展開を図る動きが広がっている。そごう・西武9店舗では、「チョコか、チョコ以外か」を掲げ、2月15日まで順次、イベントを開催する。焼き菓子やグミなど、チョコ以外のアイテムを前年から2倍に増やした。25年にチョコ以外の菓子の売り上げが前年比4倍と大きく伸びたため、今年はさらに強化したという。

「モカブル」はコーヒー豆をまるごと使ったスイーツを提案
「モカブル」はコーヒー豆をまるごと使ったスイーツを提案

初出展ブランドの「モカブル」では、微粉砕したコーヒー豆と植物油脂で作った無垢チョコのような見た目のコーヒースイーツを提案する。「コーヒー豆を食べるという新しい体験と、豆を無駄なく使い切るというサステナビリティの観点で支持されている」(同社)。コスタリカ産とエチオピア産豆を使った商品を販売する。

◆パティシエに会える“推し活”

松屋銀座では、国産素材を使った国内ブランドの取り扱いを前年から3割増やし、日本食材の魅力を伝える。さらに今年はイートインと実演販売を過去最高の23ブランドに増やし、会場でしか味わえない体験価値の提供に力を注ぐ。

銀座の“地の利”を生かす初の試みとして、パティシエが目の前で仕立てる予約制のデセールコースを設け、従来よりも単価を引き上げる。平瀬祥子氏(レストランローブ)による「ムニュカカオ」はアルコールペアリング付き、税込1万8700円。松屋銀座食品部食品二課MD担当バイヤーの小泉翔氏は、「イートインは、パティシエに会える“推し活”要素と相まって毎年人気が高い。当社らしい企画として話題を喚起したい」と話す。

商品を詰め合わせて自分用のギフトが作れる「お菓子クラブ缶」
商品を詰め合わせて自分用のギフトが作れる「お菓子クラブ缶」

また、イトーヨーカ堂では、“百貨店に次ぐ、品ぞろえ”を掲げ、二極化対応、即食簡便、新しい価値提案、地域・個店与件対応を軸に組み立てる。前年よりも取り扱いアイテム数を約1割増やした。地域や客層にあわせてアイテムを選定し、グループ180店舗・180通りの売り場を提供する。

2020年以降、1店舗あたりの売り上げは伸びており、25年の既存店売上金額は20年比で40%増加した。「自家需要を中心に購買意欲の高い消費者が多い。チョコレート価格の高騰が続く中、今後も市場の拡大が見込まれる」(イトーヨーカ堂)。

◆メーカーは手作り需要を喚起

プレミアムガーナ 生チョコレート 〈アンフィニマン ヴァニーユ〉
プレミアムガーナ 生チョコレート 〈アンフィニマン ヴァニーユ〉

流通菓子メーカー各社では、日常生活に根ざした施策を展開していく。ロッテは、プレミアムガーナシリーズから、昨年好評だったピエール・エルメとの限定コラボ品を発売する。「生チョコレート アンフィニマン ヴァニーユ」については、バニラ風味をより感じられる品質に改良した。全3種。

専門店品質をコンセプトとする同シリーズは、「自己投資の一つと捉えられ、好調に推移している」(マーケティング本部 ガーナブランド課の山口洸也氏)とし、さらなる拡販をめざす。

明治はサンリオキャラクターズとのコラボで手作り需要を喚起(景品は無くなり次第終了/(C)'26SANRIO CO., LTD. APPR. NO. L663985)
明治はサンリオキャラクターズとのコラボで手作り需要を喚起(景品は無くなり次第終了/(C)’26SANRIO CO., LTD. APPR. NO. L663985)

例年同様、板チョコを使った手作り提案も盛んだ。ロッテは、ガーナホワイトにいちごパウダーを練り込んだピンク色のガーナチョコレートを発売する。明治は、板チョコを3枚購入すると、サンリオのキャラクターのチョコ型をプレゼントする企画を実施する。節約志向を取り込みながらSNS映えを訴求していく。

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食品産業新聞

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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