アサヒ飲料、初の女性プロパー社長誕生へ、近藤佳代子次期社長が「三つの柱」掲げる
アサヒ飲料は2月20日、社長交代に伴う記者会見を開き、3月24日付で米女太一社長が会長に就任し、近藤佳代子常務執行役員が社長に昇格すると発表した。同社としては初のプロパー出身社長であり、初の女性社長となる。
■米女社長「社員一人ひとりと対話を重ね、成長を実感」
米女氏は、3月24日付で近藤氏が社長に就任し、自身は会長に就任すると改めて説明。2020年3月、コロナ禍という未曽有の危機の中で社長に就任した当時を振り返った。
「常に経営は環境の変化の中にある。社会や生活者の価値観はすでに変化していると感じた」と述べ、その中で重視したのが「どのような環境にあっても新しい価値を見続けること」と「しなやかで強い組織をつくること」だったと語った。
オンラインの活用や事業所訪問を通じ、社員一人ひとりと対話を重ねてきたとし、「今、確かに人と組織が成長していることを実感している」と述べた。
商品面では、三ツ矢、カルピス、ウィルキンソン、ワンダ、十六茶、おいしい水など主要6ブランドに注力し、それぞれの価値向上を図ってきたと説明。サステナビリティでは2021年から「ラベルレスボトル」やボトルtoボトルを推進し、リサイクルPET使用率は50%を超えたとした。
また、自動販売機事業についてもオペレーション改革やダイドードリンコとの協業などを進めてきたと紹介した。
2025年のサイバー攻撃による影響ついては「皆様に大きなご迷惑をおかけした」と改めて謝罪。一方で、システム障害発生から2日後に受注を再開、4日後には製品出荷を再開できたとし、「流通の皆様のご理解と温かな支援に感謝している」と述べた。
6年の就任期間で最も印象に残った出来事について尋ねられると、コロナ禍という厳しい環境下で社員一人ひとりと対話を重ねてきた経験を挙げ、「どのような困難があっても、それを乗り越えていくのは社員だと強く感じた」と振り返った。社員との対話を経営に反映させてきたことが、自身にとって大きな財産になっていると述べた。
今後は会長として新体制を支える立場となる。
■近藤次期社長「社員が前向きに活動できる状態つくる」

近藤氏は1991年入社。営業、調達、広報、ESG推進、サステナビリティ部門のグローバル統括、SCM、海外事業などを歴任してきた。
学生時代に10年間打ち込んだバスケットボール経験に触れ、「チームで勝つこと、仲間と支え合う大切さが原点」と語った。
サステナビリティ部門のグローバル統括を5年間務めた経験については、「価値観を大きく変える転機だった。サステナビリティは経営そのもの、事業にとって不可欠なものだと学んだ」と述べた。
昨年のサイバー攻撃によるシステム障害では、「社員が前向きに活動を続けられる状態をつくること」と「意思決定を速めること」に注力したと振り返り、「現場感覚と仲間の力を改めて実感した」と語った。
その上で、新体制の方向性として三つの柱を掲げた。
第一に、サステナビリティ経営のさらなる強化。
「社会が持続可能でなければ事業も持続可能ではない」とし、社会課題と事業課題を一体で捉える経営を進めるとした。
第二に、既存事業の進化と新規事業創出の両立。
100年培ったブランド、技術、サプライチェーンを磨き上げると同時に、乳酸菌技術などを活用し新規事業を創出すると述べた。
第三に、人と組織の力の最大化。
「戦略や議論があっても、それを動かすのは人と組織」とし、「一人ひとりの心に火を灯せるリーダーでありたい」と語った。
そして、「最も愛され、一番信頼される企業を目指し、100年のワクワクと笑顔を創り上げていく」と締めくくった。
また、プロパー出身としての強みを問われた近藤氏は、「現場をよく知っていること」と話した。営業、調達、SCMなど幅広い部門を経験してきたことに触れ、「戦略だけではビジネスは動かない。現場感覚を踏まえて判断できる点が自分の強みだ」と語った。
さらに、近藤氏はアサヒ飲料の魅力について問われると「社員の力」と強調。昨年のサイバー攻撃によるシステム障害を振り返り、「一人ひとりが本気で会社を支えた。その姿に感謝しきれない」と述べ、組織の底力への信頼を示した。
■サイバー攻撃からの回復
質疑応答では、サイバー攻撃からの回復についても言及。
近藤次期社長は、「正直申し上げて事業への影響は大きい」と率直に認めた上で、現在は全社員が復旧・復興に向けて取り組んでいると説明。
「2月、3月、4月と反転攻勢の施策を打っている」と述べ、ひな祭りや三ツ矢サイダーの日といった重要ブランド施策を軸に巻き返しを図る考えを示した。上期は厳しい状況が続くとの認識を示しつつ、下期での回復を目指すとした。







