〈シグナル〉食品ロスと温暖化
日本の夏は「異常」から「新常態」へと変わりつつある。夏の長期化をうけ、ここ数年、食品業界では「冷やして食べる」提案が一気に広がった。ラーメンやお茶漬けはもちろん、天ぷらやとんかつなど意外性のある冷やしメニューまで登場している。温かく食べることが当たり前だった料理も、発想を少し変えるだけで新たな需要を生み出せることには驚かされる。
一方、こうした変化の背景にある気候変動は、食品業界に新たな課題を突き付けている。その一つが食品ロスだ。夏向けの商品やサービスは増えたが、地球温暖化と食品ロスの関係はあまり知られていない。
先日、食品ロス問題の専門家・井出留美氏の講演を拝聴した。井出氏によると、世界で発生する食品ロスを一つの「国」と見立てた場合、その温室効果ガス排出量は、中国、アメリカに次ぐ規模になるという。また、食品ロスの削減は気候変動対策としても高い効果が期待されている。
国内の好例として京都市は、食品ロスの削減を着実に進めてきた。例えばスーパーにおける販売期限の運用を見直し、期限間近の商品をより長く販売できるようにした結果、店舗の食品ロスは前年から10%減少し、売り上げは同5.7%増加した。
環境対応はコストと捉えられがちだが、発想次第で需要創出や収益向上につながる可能性がある。夏需の活性化と食品ロス削減を両立する取り組みは、食品業界の新たな成長機会になるかもしれない。








