サントリー、“甘くない時代”に挑む 新炭酸「NOPE」投入

ハンバーガーやスイーツとの食べ合わせを提案する「NOPE」
ハンバーガーやスイーツとの食べ合わせを提案する「NOPE」

〈ストレス社会の“ギルティ消費”に着目、今年最大の注力商品に〉

サントリー食品インターナショナルは、炭酸飲料の新ブランド「ギルティ炭酸 NOPE(ノープ)」を投入する。健康志向の高まりで無糖茶や水など“甘くない飲料”への支持が広がる中、サントリーがあえて甘さと背徳感を前面に打ち出した新商品で炭酸飲料市場の活性化を狙う。今年最大の注力商品と位置付けている。

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「NOPE」は“甘濃く、やみつきになる”味わいを特徴とし、600mlPET(税別200円)と、自動販売機向けの340ml缶(同140円)で展開する。発売日は3月24日で全国販売する。

同社のSBFジャパン常務執行役員の佐藤晃世氏は3月17日に開かれた発表会で、無糖茶、コーヒー、ミネラルウォーターなど規模の大きいカテゴリーに続き、炭酸飲料を「新たな戦略カテゴリー」と位置付けたと説明した。炭酸市場はミネラルウォーターと同等の規模がありながら成長が止まっているとし、「新たな挑戦で需要を創造し、この炭酸飲料市場を活性化したい」と述べた。

東急プラザ表参道「オモカド」ではサンプリングイベントが3月17日に開催された
東急プラザ表参道「オモカド」ではサンプリングイベントが3月17日に開催された

背景にあるのは、炭酸飲料市場の停滞だけではない。近年は若年層の炭酸飲料ユーザーが減少する一方で、20~30代を中心に炭酸飲料に「ストレス発散」を求める傾向が見えてきたという。従来からあるコーラや果汁炭酸といった区分ではなく、ストレス発散というシーンで選ばれる炭酸を提案していく考えだ。

同社は新ブランド開発にあたり、三つの潮流に着目した。一つは若者のストレス解消ニーズ、二つ目は背徳感を覚えつつ欲望を解放する「ギルティ消費」の拡大、三つ目は健康志向の対極にある甘濃い嗜好の炭酸への需要である。

同社の示した富士経済社の資料(※)によれば、健康志向を反映した市場が広がる一方、ギルティフード市場も伸長していると整理しており、生活者の中で「健康志向」と「あえて欲望に溺れるギルティ消費」が併存していると分析する。カラダの健康と心の健康の両方を求める潮流がみられる。

※ 富士経済2019年~2024年「H・Bフーズマーケティング便覧」、2025年「外食産業マーケティング便覧」(外食〈ハンバーガー、ラーメン、チキン、ドーナツ・アイス〉、スナック〈ポテトチップス、ファブリケートポテト〉、デザート合算)

「NOPE」をイメージした部屋
「NOPE」をイメージした部屋

同社ブランドマーケティング本部の大槻拓海氏は、コロナ禍以降、特に若年層でストレスを感じる人が増え、対人関係やSNS疲れを背景に「一人でだらだら過ごしながらストレスを溶かす」行動が広がっていると説明。そのうえで、新商品のコンセプトを「現代人のストレスを溶かしてくれる、欲望のままに楽しむやみつきギルティ炭酸」とした。

〈完熟フルーツやスパイスなど99種類以上のフレーバーを掛け合わせ複層的な香りや味わいへ〉

パッケージは、炭酸飲料では珍しいブラック&マゼンタを採用し、ブランドアイコンと合わせて強い記号性を持たせた。同社の棚前認知率では新ブランドながらほとんどの炭酸ユーザーが気付くデザインで、視認性が高いことがわかったという。

中身も従来の炭酸飲料とは一線を画す設計とした。商品開発部の竹下侑里さんによると、糖度の指標であるブリックス値は一般的な炭酸飲料より高い13.3に設定。甘味と酸味だけでなく、塩味、苦味、旨味まで含めた五味設計で厚みのある味わいに仕上げた。さらに、99種類以上のフレーバーを独自にブレンドし、完熟フルーツやトロピカルフルーツを軸に、スパイスなどの香りを重ねることで複層的でやみつき感のある味わいを目指したという。

同社の調査では、有糖炭酸飲料ユーザーの約83%が「NOPE」について「おいしい」と回答し、満足感のある濃厚さでも他の黒色炭酸と比べて高い評価を得たとしている。

(左から)鈴鹿さん、佐藤常務執行役員、生田さん、アントニーさん
(左から)鈴鹿さん、佐藤常務執行役員、生田さん、アントニーさん

発表会では、3月21日から放映予定のテレビCMに出演する俳優の生田斗真さん、鈴鹿央士さん、お笑い芸人のアントニーさんが登壇し、日常の中での“ギルティ消費”としての楽しみ方や、ジャンクフードとの相性の良さなどについて語った。

発売後は、ブランドアイコンを前面に押し出し、スーパー、コンビニ、自動販売機で存在感のある売り場づくりを進める。テレビCMに加え、交通広告やSNSも含めたフルメディア展開を予定するほか、ギルティフードとのコラボレーションやファッション分野での接点づくりも検討する。商品単体にとどまらず、ギルティ消費の象徴的ブランドとして育成する考えだ。

佐藤氏は、「今年最大注力の新ブランド」と位置付けたうえで、中期計画では1000万ケース規模を目指す考えを示した。

ただし、健康志向の高まりが続く中で、甘濃い炭酸がどこまで支持を広げられるかは未知数だ。伸び悩む炭酸カテゴリーを再び動かせるか、注目される。

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創刊:
昭和26年(1951年)3月1日
発行:
昭和26年(1951年)3月1日
体裁:
ブランケット版 8~16ページ
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