〈シグナル〉AI時代の人間力
先日、次男の大学入学式で印象に残る話を聞いた。新入生に対し、AIをもっと積極的に活用すべきという呼びかけがあったのだ。
強調されていたのは、AIに任せきりになることではない。自分がAIの「上司」となり、的確に指示を出し、返ってきた答えをうのみにせず、誤りがあれば修正しながら使いこなすことの大切さであった。
こうした流れは、私たちが取材する食品業界でも同じである。各社の経営トップと話していると、AIに触れない企業の方が少なくなってきた。
大手飲料メーカーでは専門部署を設ける動きがあり、他の企業でもマーケティングのアイデア出しや製品評価への活用が広がっている。以前なら「アイデアを20本出すように」と言われたら大変だったが、AIなら一瞬で何本も案が出てくる。
教育現場と産業界の双方で同じ方向の変化が起きている以上、AIは一過性の流行ではない。だが、AIは万能ではない。もっともらしい答えも事実と異なることはある。最後に必要なのは人間の判断なのだ。我々の仕事では、事実確認も表現の吟味も、最後の責任も人が負う。
もう一つ大事なのは、AIを使いこなす前提としての好奇心ではないかとも感じている。AI時代に必要なのは、答えを待つ姿勢ではなく、好奇心を持って問いを深める力である。AIがどれほど進化しても、最後にものを言うのは、自分はどうしたいのかという人間の意志である。








