アサヒ飲料、「CO2を食べる自販機」の特別仕様タイプを東京・銀座で展示、“都会に森をつくる”世界観を体現、資源循環ビジネス加速で設置1500台突破

アサヒ飲料は、6月5日の「世界環境デー」に合わせて、CO2を吸収する機能を持つ「CO2を食べる自販機」を東京・東急プラザ銀座地下2階で6月4日・5日の2日間限定で展示している。今回設置されているのは、本物の木材と融合した特別仕様の自販機で、「CO2を食べる自販機」のコンセプトでもある「都会に森をつくる」というコンセプトを具現化したもの。身近な自販機を通じて、生活者に脱炭素社会の未来をより身近に感じてもらい、環境に関心をもつきっかけの創出を目指す。
同日に行った説明会において、アサヒ飲料CSV戦略部プロデューサーの峯澤和裕氏は今回の展示の狙いについて、「自販機という身近な存在を通して、環境への想いを発信することで、より多くの方々に“環境について考える日”として意識していただきたいと考えました」と語った。「木のようにCO2を食べる自販機」というメッセージを掲げた新聞広告を3月に展開しており、今回はその世界観を立体化する場として位置づけた。
「CO2を食べる自販機」は、大気中のCO2を吸収・固定化する素材を使っており、1台あたりの年間吸収量は、稼働電力由来の排出量の最大20%に相当するという。これはスギの木約20本分の吸収量にあたる。2023年6月から実証実験を始め、2025年4月には全国で1500台超を設置。商業施設や駅、学校などで展開しており、学校では「生徒の環境意識が高まった」といった声が寄せられているという。

さらにアサヒ飲料は、「CO2を食べる自販機」を起点に、CO2の資源循環ビジネスを本格化させている。吸収したCO2は、コンクリートブロックやアスファルト、床タイルなどの建材に再利用されている。すでに茨城県土浦市で道路や駐車場の舗装で活用されているほか、関西万博でも使用されている。
また、内装用の無焼成タイルも開発し、製造時のCO2排出が少なく、割れにくいことから、防災性能の向上にもつながるとしている。
沖縄では、CO2吸収材を活用したサンゴ移植の実証実験にも着手。サンゴの白化現象(造礁サンゴに共生している褐虫藻が失われることでサンゴの白い骨格が透けて見える現象)を抑える傾向が確認されており、ブルーカーボン(海中や海底に吸収/埋没されるCO2のこと)やサンゴ保全の観点からも注目されている。
また、地域との連携も広がっている。岩手県奥州市とは地球温暖化対策をめぐる連携協定を締結し、地元企業と連携した地産地消型のCO2循環モデルを構築中だ。今後は、CO2吸収材を活用した製品の公共工事での活用も検討されているという。地場企業と連携し、地域内カーボンリサイクルを実現し、産業活性化や雇用創出にもつなげていく構想を描いている。
峯澤氏は、「将来的には、CO2を食べる自販機そのものをカーボンニュートラルにしていきたい」と話す。吸収材の性能向上に加え、省エネ・創エネ技術との組み合わせにより、“脱炭素の啓発と実践を両立できる場”として、自販機の役割を進化させていく考えだ。
アサヒ飲料は2030年までに全国で5万台の設置を目指しており、「100 YEARS GIFT(100年ギフト)」の理念のもと、持続可能な未来への取り組みを日常の中から広げていく。
なお、東急プラザ銀座で行われているイベントでは、「CO2を食べる自販機」をSNSに投稿した人を対象に、6月4日・5日の両日、先着150名に「アサヒ おいしい水 天然水 シンプルecoラベル」を1本無料配布している。